麗しの薔薇
「まぁ大丈夫よ。それで、ご依頼ね?」
目の前で不安そうな顔をしている織宮さんに、改めて確認する。
織宮さんは頷き「…その──」と内容を話しかけたので、私は口元に人差し指を当てた。
そして、織宮奏と書かれた名刺の裏に
──────
宝石商店
"××××××"
──────
とあたかも、仕事のやり取り先とのメモ書きのように、仕事用のメールアドレスを控えた。
「続きはこっちで。」
そうして、貰ったばかりの名刺を再び織宮さんの手元に返す。
その人は少し動揺しながらも、小さくお辞儀をして私たちの元から去った。