麗しの薔薇
「はー、笑った笑った。」
隣で、笑いすぎて出た涙を拭うような仕草をする瞬さん。
「…もー、依頼のことだって知ってるんですから笑わないでくださいよ。」
私が呆れた口調で言うと瞬さんは平謝りしてくる。
まぁ確かに、バーでこんな風に依頼されるのは久々だったし…未だにこんな台詞使ってるのかってところはあるけど。
───"仕事"改め、"情報屋『ルビー』"
それが私がこのバーに入り浸る理由のひとつ。
その名の通り、私は情報を調べて売ることを仕事にしている。
それも、この業界では結構名の知れた方で、裏組織などからも信頼を勝ち取っていたりする。
「最近は捗ってるのか?」
そして瞬さんは私の素性を知ってる数少ない1人。
「まぁ、ぼちぼちですけど。でも個人的な依頼は久しぶりです。」
そう、基本は組織を通して依頼されることがほとんどだから、織宮さんは珍しいタイプだ。
ましてや一般人に見える人からなんて──