麗しの薔薇
さて。今日は依頼も入ったし、帰り時かな。
そう思って時計を見ると、私がバーに入った時刻からひと回り進んでいた。
「じゃあ、そろそろ失礼しますね。」
隣の瞬さんに別れをつげ、私は席を立つ。
瞬さんは、軽く相槌をして手を振るだけ。
あれだけ勝手に盛り上がっておいて…いつも帰り際はあっさりしてるんだから。
ま、それはともかく織宮さんの依頼が気になるから少し早めに帰ろう。
バーを出ると、暗い路地を綺麗な三日月が照らしていた。
1つ外へ出れば、昼夜問わず賑わいが絶えない繁華街に通じるが……私にはこの静かな暗い道の方が歩きやすい。