麗しの薔薇
「…さてと。」
自宅に着き、パソコンを開く。
さっきの依頼人…織宮さんから連絡があったか確かめる。
んー、お、来てる。
ちゃんとご丁寧な文章で依頼がきていた。
内容は"家出をした息子を探して欲しい"とのこと。
家出、ねぇ……
普段される人の粗探しや裏の情報とは系統の違う依頼に少しむず痒い気分になる。
息子さんの名前は織宮 爽。
今までも、反抗期だからか1週間くらい家に帰ってこないことはあったらしいけど、今回は1ヶ月以上戻って来ていないらしい。
どこぞの暴走族にでも入ったって所だとは思うけど、1ヶ月以上となるとたしかに少し裏がありそう。
織宮さんは、調べたところ本当にサラリーマンをしている一般人のようだ。
そんな人が裏の人間である私を頼るくらい大切にされているのに…息子は親不孝者ね。
そんならしくないことを思いながら私は手を動かし始めた。
───…まさか、こんな何気ない依頼があんな未来を招くだなんて思いもしないまま。