麗しの薔薇
……それから、数分。
ピタリとパソコンを打っていた手が止まる。
私はさっきも言った通り、かなり腕の立つ情報屋でありハッカー。
それも、普段は裏企業から海外にまで渡る情報を調べたりしている。
だから1人の人間を探し出すのも、さほど時間は掛からずに真実を見つけ出せる。
だから…
今目の前のディスプレイに表示されている文章──事実に手が動かなくなってしまった。
『───織宮 爽
現 "赤瀬組" 組子』
「嘘……」
私の腕では数回調べただけで簡単に出た、依頼された息子さんの情報。
それは、私がもう二度と見たくないものだった。