麗しの薔薇



……それから、数分。


ピタリとパソコンを打っていた手が止まる。


私はさっきも言った通り、かなり腕の立つ情報屋でありハッカー。


それも、普段は裏企業から海外にまで渡る情報を調べたりしている。


だから1人の人間を探し出すのも、さほど時間は掛からずに真実を見つけ出せる。


だから…


今目の前のディスプレイに表示されている文章──事実に手が動かなくなってしまった。



『───織宮 爽



 現 "赤瀬組" 組子』


「嘘……」


私の腕では数回調べただけで簡単に出た、依頼された息子さんの情報。


それは、私がもう二度と見たくないものだった。


< 14 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop