麗しの薔薇
呼び止められた声に振り向けば、総長を囲むように座っていた幹部の方々が私を真っ直ぐ見つめていた。
「……あの、なにか?」
前に立ち阻むように私に近づいてきた、恐らく柔らかな声の主と思わしき人を見上げる。
「ごめんね、呼び止めて。自己紹介してなかったなと思って。あぁ──僕達のこと知ってるかな?」
にこり─と聞こえてきそうなくらい綺麗な笑顔でそう言うのは、風雅幹部 柊木聖也だろう。
知っているも何も、味方にしようとしている相手だから事前に情報収集している。
それに、ここらでは1番の強さを持つ族なら有名なのでは……?
いやでも、"普通の"女子高生は知らないものなのか……?
そこまで意識が回っておらずすぐに返答できずにいると、
「引き止めといて名乗らないのも違うよね。僕は柊木聖也、よろしくね。」
とお得意の優しさで向こうから名乗ってくれた。