麗しの薔薇



「…東雲蘭」


抑揚の少ない綺麗な低音。


彼の瞳もそうだが、その声といいどことなく既視感を覚えて少しもどかしい。


「それで質問を戻すけど…僕も知りたいな、花菱さんがここへ来た理由。」


改めて柊木くんから理由を問われ、視線が私に集中するのが分かる。


理由…ね。


「……一人暮らしするのに近かったからです。」


嘘、でもない。実際この高校から家へのアクセスはいいし。


と心の中で思わず言い訳をする。


「…それだけ?」


柊木くんが少し驚いたような反応をする。


まぁ、この学校初の女子生徒だし、族がうじゃうじゃいる学校に入る理由には浅いだろう。


実際それだけが理由じゃないし、信じてほしい訳でもないけど。今はこうとしか言えない。
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