君が月に帰るまで

姫はどーんと後ろに倒れて大の字に寝転がった。起きたら謹慎先の家だろう。

謹慎中はどんな姿なのだろうかと思いを巡らせる。曾祖母はまだ罪が軽かったから人の姿のままだった。姫は重罪人。きっと人ではない姿にさせられるだろう。死罪とならず、謹慎処分で済んだのはお父様の慈悲。

だけど、何も悪いことなどしていない。自分の心に正直にいただけ。それで罰せられるなんて、おかしな世の中だ。そう姫は思うが、それに抗う術もない。

外の雰囲気がまた変わる。今度は地球に入ったのだろう。

「姫さま、そろそろです」

朔の声が聞こえる。姫はだんだん瞼が重たくなってきた。大の字に倒れたまま、目を閉じる。

曽祖母さま以来、地球謹慎処分になったのは姫が1300年ぶり。快挙だ、これは。
あんなに行きたかった地球。
こうしていざ行くとなると怖い。
しかも重罪人として行くのだから、思ってたのと違う。
謹慎先ってどこだろう。
あの家の少しでも近くならいいな。
謹慎している姿でも、ひと目あの人に会ってみたい。
姫は謹慎の不安と期待でざわざわする頭をなんとか鎮めて眠りに入った。


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