君が月に帰るまで
「あ、おはよう」

にこりと笑うゆめ。なんだか天使のようにも見える。

「おっ、おはよう。今日はゆっくりなんだね」

「うん。はじめも?」

「今日は塾休みなんだ。どうする? 今日の月の入りは……」

月の入りの話をしようとすると、しーっとゆめは自分の口に人差し指をあててこっちこっちと手招きする。

なんだろうと思いながらドアの向こうへ進むと、ゆめはドアを閉めた。

「はじめ、向田さんに聞こえたらまずいよ。監視されてるんだし」

そう言って、息をつく。そっか監視されてるんだったっけ。

「ねぇ、その監視ってどうやってやるの?」

「地球鏡っていうものがあってね。それで見るの。声も聞こえるよ」

「超能力みたいなもの?」

「うーん……そうだね。でも人じゃなくて自動監視システムが作動してる時間もあるけど。これでもかって監視がついてるはずだから」

「自分は外で2回も変身したくせに、よく言うよ」

「……そうでした。ごめんなさい。でもせっかくだから、ちゃんと地球を楽しみたいの。私ももう少し慎重になるようにする。とりあえずここにいられるってことは、見られてはないと思うから」

「わかった。僕も気をつけるね。話の続き、していい?」

「うん」
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