クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「なんでわたしの部屋⁉︎」
自分の部屋の入り口で立ち尽くすわたし。
明日になって考えればいい問題だらけだけど、1つだけ、今考えなきゃいけない問題があった。
寝る場所はどうすればいい?
寝ることよりもまずこっちを考えるのが先決だったよ……。
斑の部屋か、わたしの部屋か。
それか、おじいちゃんの部屋に押しかけて3人で寝るか。
いくつかの選択肢があった中で、斑が選んだのは『わたしの部屋』だった。
「俺の部屋、相部屋だし」
「いやそうだけど、そうじゃなくて……って文句言っても仕方ないよね。うんまぁ慣れてるし、一緒に寝るの」
勝手にもぐり込んできたり、抱き枕にされたり。
慣れて……はいないけれど、なんとも思ってないふりをしないといけない。
わたしだけ意識して動揺するのはイヤだ。
余裕あるふうを装わないと。
そんな誤魔化しを心に描きながら、部屋に入る。
すると、体は前に進んだのに、手錠でつながれた左手首だけがぐいっと後ろに引っぱられた。
部屋の前まで来たのに、なぜか引きかえそうとする斑。
「え、なに?どこ行くの?」
「布団」
──を取ってくるってこと?