クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
彼は、黒桜 斑。
わたしより1つ年上の男の子で、その正体はおじいちゃんが用意してくれたわたしの用心棒。
どんな危険からも守る、ゆえに『番犬』なんて呼ばれているらしい。
けれど、わたしには自由気ままな野犬にしか見えない。
自分の世界を持っているといえば聞こえはいいけれど、実際は周りと同調しようとしないだけ。
それでいて、なににも興味を示さない。
特技はいっぱいあるけど趣味はない、みたいな。
どんなときも冷静でいられて物事を俯瞰に見れるのはすごいなって思うけど、もうちょっと人の顔色をうかがって生きてほしいな、とも思う。
「斑、起きてー。わたし着がえたいんですけどー……」
布団にもぐり込んでしまった斑を、布団の上からゆする。
立ち入りを禁ずるとか堅い言葉で禁止しても、なぜか斑は適用外。
おじいちゃんが例外なのは納得できるんだけど、なんで斑が見過ごされているのか謎。
だれよりもまずこの人に適用してほしいのですが……。
「斑っ」
けっこう強めにゆすっているのに起きる気配がない。
斑が寝ている横で着がえるなんてイヤなんですけど……。
「ねぇまだ──」
えっ……。
「うるさい」
耳元で落ち着いた声が囁く。