二度目の好きをもらえますか?
「何でアンタが怒ってんだよ」

「だって…」

「つーか、ちょいちょい昔のあだ名で呼んでくるし」

「……っ、それは。賢ちゃんが私の事、アンタとか呼ぶから。
 私は“さっちゃん”だよ、彩月(さつき)。小谷 彩月」

「知ってるし」

 単純に呼び方を変えて欲しいと思うのだが、それを中々口にできない。私は眉をしかめたまま、口を結んだ。

「確か小四の一学期も言ってたよな」

「……へ?」

 大谷くんから話を振るのが珍しすぎて、間抜けな返答になる。

「クラスの一人一人にさ。“さっちゃんって呼んでね”って。底抜けに明るくてさ、あの笑顔には誰も逆らえないパワーみたいなモンがあった」

 私のこと、そんな風に思っててくれたんだ。

 “だから”、なのかもしれない。

 まだ純心で、他人との気持ちの駆け引きとかそんなものが必要のない子供だったから。

 私も積極的に行動することが出来たし、それが当時のけんちゃんに刺さったのかもしれない。

 心の奥がしんみりとして、それ以上何も言えなくなった。
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