ひとりぼっちのさくらんぼ
ぼんやり立っていた。
ぼんやりしてたから。
走って渡った人がいて。
「青信号だって、勘違いしたんだ……」
そう言うと、耳に蘇ってきた。
『キキーーーッ!!!』
全身がぞくっとした。
寒気がして。
両腕で、思わず自分を抱きしめる。
「……J Kちゃん?」
「あたし……、車に……」
思わず生唾を飲む。
ごくり、と漫画みたいな音がした。
「……はねられたんだ!」
お姉さんは何も言わない。
「……そう、そうだよ、あたし、事故に遭ったんだった!!」
「ねぇ、J Kちゃん」
と、お姉さんがゆっくりこちらを見た。
「事故に遭って、あなたはあなたの時代で、目を覚ました記憶がある?」
あたしは首を振った。
「ううん……、そんな記憶、無いと思う。ものすごく曖昧だけど、でも、事故のあとの記憶って、今は思い出せない」