錆びきった鐘は
「皆城くんこそ、今日は友達と……」



「まあ、そんなとこだよな。駅近くの公園でイルミネーションやってるって聞いたからさ。暇だったし」




頭の後ろに右手を回してあたりを見渡す皆城くん。そんな姿さえ様になっていて、かっこよくて、昔の気持ちがぶり返してしまいそうだった。



「でもさー、流石にその格好は寒いだろ。上着とか持ってるの?」



その言葉に私は確かに、言わざるをえない。トレーナー一枚にタイツとロングスカート。この格好は誰が見ても寒さを考えればありえない。



「持ってないよ。大丈夫かなって思ったから……」



私はそう言いながら、ふるりと思わず身体を震わせる。まさか、芯から冷えるくらいに寒いとは思わなかった。
肩にかけた小さめのトートバックの持ち手を両手で握りしめる。これは、早く買って帰ったほうがいい。




「じ、じゃあ、またね。久しぶりに会えて、よかったよ」




何故か名残惜しく感じる気持ちを抑えながら、手を振ってスーパーの方へ向きを変える。


不思議と泣きたくなるような、何かが胸の奥からせり上がってきてどうしようもない。
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