身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

「そ、そんな、急に……」

「俺を忘れるかどうか。俺に抱かれてから決めてくれ」

顔が熱くなり、花純の真似ではなく初めて頬に触れた。抱かれ方なんてわからない。花純が誰かに抱かれているところは見たことがないから、真似はできない。でも、結婚すればいつかはこれを乗り越える必要があるはずだ。
それに、貴仁さんにこうして誘われて、拒否する気持ちが湧いてこないのだ。嫌だと言うにはあまりにまっすぐで、情熱的で、男性としえ魅力的すぎる。

忘れなければならないのに、私はこんなときにあのエレベーターでのことを思い出した。彼を抱きしめたときの感覚がよみがえる。花純のふりをし続けている中で、あのときだけが、私だった。また触れあえたら、私と彼の心も繋がれるんじゃないだろうか。

「……わかりました」

約束を交わすと、彼の鷹のような瞳が私を鋭く捕らえて離さなかった。

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