身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

このとき、椎名花純に関して頭に入れていた『瓜二つの見た目をした妹がいる』という情報を思い出した。顔は同じだが性格は違っているとか。俺が抱いた女性は本当に花純なんだろうか。眠る彼女の横でふと考え、その仮説が事実だったらとひとり妄想して苛立った。まさか、別人なはずはない。だがそう考えると合点がいくことばかりで、徐々に疑いが深まっていく。

『お前、本当に椎名花純か?』

尋ねた瞬間の彼女の表情は疑いを確信に変えた。

姉と同じ容姿を利用して俺を欺くなど、とんでもない女だ。それを黙認したであろう花純に対しても落胆はあったが、資金提供の条件にし、実行せざるを得ない状況にした俺にも落ち度はあった。
すでに婚約者がいると聞かされ、彼女のその男へ対する想いが電話口から漏れる。騙されたとはいえ彼女の妹と関係を持った直後の俺は、なにもかも絶望的になった。
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