身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
香波との生活を始めたが、なるべく接触を避けた。花純を想っていたはずがこうも簡単に香波に情を持ち始める自分が嫌になり、わざと冷たく接する。傷ついた顔をされると心が痛み、さらに苛立った。
仕事の後、外で食事を済ませて家へ戻った日、香波がソファで眠っていた。いつも柔らかな雰囲気の服を着ていたがその日は違い、体にフィットするタイプのスーツ姿だった。いつもは広がるくらいのボリュームがある髪も、毛先までまっすぐに整えられ、ひと筋ずつサラサラと落ちている。
顔立ちも違う気がする。いや、化粧が朝と変わっているのか? なぜ?
言葉を失い、俺はしばらくその場に立ち尽くす。彼女の姿は驚くほど好みだった。これまで自覚すらなかったが、俺はこういう雰囲気の女性が好きだ。
花純に失恋した途端に香波が好みだと感じる自分に失望するも、抗えずに香波を求めてしまった。恥ずかしいと目を細めて顔を赤くしたり、戸惑うと目を逸らす癖など、偽物でない彼女自身の表情に目が離せなくなる。