身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
でも、柊貴仁はそういう人だと聞く。ビジネスセンスと頭脳で業界から一目置かれ、今では社長や役員たちを凌駕する手腕で経営にかかわっている。もはや柊和コーポレーションの成長を陰で支えているのは彼なんだとか。誰も逆らえず、欲しいものはどんなものでも手に入れる。
女性関係が激しいという噂はなかったはずなのに、花純が目をつけられていたなんて。
「すまない。合併の件は光汰くんと先に話し合ってきたんだ。彼が花純と一緒になったとしたら、シーナ製紙を継ぐはずの立場だったからね。彼にとっても重要なことだと思って」
「光汰さんは、なんて……?」
花純は震えており、私は肩を支えた。花純よりも先に男たちで話を進めているのが気に食わないけれど、ちょうどいい。もしも三橋さんの中に、シーナ製紙を継ぐために花純と結婚する魂胆があるのだとしたら、今ここで炙り出しておかなければ。信じていた三橋さんを試す気持ちで、目の前の父を睨む。すると父は笑顔に変わった。
「シーナ製紙が柊和コーポレーションに吸収されたとしても、光汰くんは花純との付き合いにはまったく影響がないと言ってくれたよ。会社など関係なく、心から花純を愛していると」