俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
何着か選んでもらい、試着してみる。
紺色に光沢のあるドレスやレースの透け感のある白いドレス。黒のロングドレス。
どれも素敵で悩んでしまう…

「ちょっと翔さんに相談してみます。」

お仕事中かなぁと思いながらも、
撮った写真をメールする。
すると直ぐに既読になり、スマホが鳴る。

「もしもし、すいませんお仕事中に…。」

『いや、今移動中だから大丈夫。
白いのは露出が多いから辞めた方がいい。
紺色が果穂に似合ってると思う。』

「ありがとうございます、じゃあ。紺にしますね。」
翔さんの即答ですんなり決まった。

「お仕事頑張って下さい。」

『今夜は出来るだけ早く帰るから。』

「はい。お夕飯作って待ってますね。」
一緒に食べられるなら今夜はお鍋にしようかな。そう思いながら電話を切る。

「奥様には甘い感じなんですね!」
本谷さんがびっくりした目で見て来る。

私からしたら普段の翔さんだけど、
お仕事の時はもっと厳しい感じなのかな?

「私からしたら普通なんですけど…。」

「それは貴重な方の堀井社長ですよ。」
本谷さんが笑いながら言う。

そんなに違うのかなぁと、思う。
仕事中の翔さんを見てみたいような、
ちょっと怖い様な複雑な気持ちがする。

皆んなが言う、冷血で冷淡な翔さんを知る事が怖いと思う自分がいる。

「明日、お仕事中の翔さんをじっくり見てきます。」

「そうなんですね。惚れ直すかもしれませんよ。」

本谷さんは元女性だからか話し易くて、
私の男性恐怖症は出なかった。

あの、キッチンカーでの出来事以来、
常連のお客様以外の男性が来ると、どうしても緊張してしまって神経質になってしまった気がする。

ボディーガードの森元さんの視線でさえも怖いと思う事もあるし、もしも翔さんを怖いと思ってしまったら……

私自身、自分ではどうしようも無い感情に支配されそうで、明日どうなるのか分からない。
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