俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
感無量とは、こう言う事を言うのだろうと、果穂は胸がいっぱいになるのを感じた。

今すぐ翔に駆け寄って、抱きつきたいと思ってしまうほどに気持ちが高揚していた。

講演が盛況に終わり拍手喝采の中、 
果穂はそっと席を立ち翔の元へと急ぐ。

廊下をパタパタと小走りで走って先程の控室に向かっていると、向かいから翔と秘書の新田が歩いて来るのが見える。

翔は果穂に微笑みかけ、新田は頭を下げてその場を去って行く。

ゆっくりと翔に近付いて行くと、
翔が電話している事に気付いて、果穂は足を止め邪魔にならない様に壁際にもたれ、
電話が終わるまで待つ事にする。

それなのに翔は構わず、果穂の方に足を進め電話しながら近付いて来て、手を取って一緒に歩く事を余儀なくされる。

電話は英語で話している為、内容はまるで分からないけれど、果穂は静かに電話が終わるまで遠慮気味に翔に着いて歩く。

控え室の前で電話が終わり、部屋の中に引っ張られる。

わわっとびっくりしてる間に、
気付くと翔に抱きしめられていて事の状況が読めず、慌てふためく。

「果穂を見つけた時から、早くこうしたくて仕方なかった。」
そう言って、翔はぎゅっと果穂を抱き締める。

「私も、翔さんに抱きつきたくて急いで来たの。」
そう言って翔の広い背中に腕を回し、抱き付き返す。
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