俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜

「…実はこの男の妻とは、少し面識がある……。」
翔は、包み隠さず宮崎麻里奈について話す。


「彼女が…、結婚式の日にホテルに押しかけてきた。
目的は分からないが、なぜか執着されていて果穂と知り合う前から、何度かスマホに電話やメールが来たが、ずっと無視続けていたから…恨みをかったのかもしれない。

ただ、……昔、一度だけ関係を持った事がある。」
翔は内心ハラハラしていた。

昔の女性関係は、出来れば果穂に知られなくない黒歴史だ。
今更、悔やんだ所で消せないが……。
罵倒されても、軽蔑されても仕方が無いと思う……。

ただ、果穂に嫌われたら……
生きていけない…。

翔は、果穂の顔を伺い見る。
いつに無く、手に汗を握りながら果穂の言葉を待つ。

「翔さんはモテるから。仕方が無いですね…。」
果穂はそれだけ言って、またスコーンを食べ始める。

自分自信が、冷静じゃ無いからだろうか?
果穂の感情が読み取れない……。

仕方ない…それだけで片付けられるような簡単な感情では無いと思うのに……。

「翔さん?早く食べないと時間無くなっちゃいますよ。」
果穂は至って変わらず、目の前のケーキスタンドからプリンを取り出し、食べ続ける。

「あっ、これ美味しい。翔さんも食べてみて。」
そう言って、翔の口元にひとすくいしたスプーンを差し出す。

翔は何も言わずに、パクリとスプーンを口に入れる。
「甘さ控えめで翔さんでも食べ易いでしょ?」
にこりと笑って果穂はプリンを食べている。

「ああ、美味いな…。」
翔もこれ以上、果穂の心情を探るのは辞めて目の前のサンドイッチを食べ始める。

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