俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
ランチを食べながら招待客の話をし始めると、翔さんがふいに、

「…あいつは?あの果穂の幼なじみは呼ぶのか?」
と言い出す。

「純君の事?どうだろう…、
個人的には呼ばなくてもって思うけど……。
みかんの収穫を毎年手伝ってくれる純君のお爺さんは呼びたいなと思ってるけど…。

農協の関係もあるから、お父さんに聞いてみるね。」

お正月以来、まったく会ってないけど確かに、呼ばない訳にはいかないかもしれない。

「あいつは俺のライバルだからな。」
なぜか翔さんは、やたらと純君の事を気にする…、

「翔さんが純君を気にする事、ないと思うよ。私にとっては、いじめっ子でどちらかと言うと苦手だし…。」

「でも、俺の知らない果穂を知っているだろ?
家族以外で呼び捨てに果穂を呼ぶのも、あいつだけだ。」
そんな事が、気になってたんだと、ちょっと可愛く思う。

「ふふふっ。そんな事、気にしてたんだ。」

「笑い事じゃないぞ。
亮太が言うには、子供の頃は泊まりで遊びに行ったり、風呂まで一緒に入った仲だって。」

「私が覚えてないくらい、小さい頃の話だよ?」

「それでも、夫としては面白くない。」
ふふふっ。そこまで気にする事?
翔さんはいたって真剣だけど、笑わずにはいれない。

「笑ったな。
俺も絶対、近いうちまた、果穂と風呂に入ってやる。」
突然、そう宣言してニヤッと笑うから、

えっ⁉︎
思わず周りをキョロキョロして、私が真っ赤になってしまう。
公共の場でなんて事を…、

ハハッと翔さんが爽やかに笑って、私の頬をひと撫ぜする。
「可愛いな果穂は。」
 
本気なのか、冗談なのか分からないけど、
お風呂は無理、絶対無理……。

前に、お風呂に連れて行かれた事を思い出して赤面する。

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