契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
『そうか。心配してたから、とりあえず決着がついたみたいでよかった。柚希が自由になれてホッとしたよ』
最初、悠介と偽装結婚したと話したときには相当驚かれたけれど、母親とのことまで説明すると、雄二さんは納得してくれたようだった。
『柚希は俺にとって妹同然だからな』
そう、誇らしげに言う雄二さんに自然と顔がほころぶ。
ソファの上で膝を抱え、ガラスの向こうに広がる夜景に目を向けた。
「ありがとう。まだ悠介の見方だと完全に解決したわけじゃないみたいだから先になるけど、落ち着いたら地元にも気兼ねなく帰れるし、今度〝speme〟にも雄二さんの料理食べに行くからね」
『ああ。悠介と一緒に来いよ。おまえたちの騒がしい会話、久しぶりに聞きたい』
懐かしそうに言われ、一瞬言葉に詰まる。
私はもうその頃の私ではないので、悠介と騒がしく冗談を言い合って雄二さんの期待に応えられるか不明だからだ。
そう考え、自然とため息が落ちていた。
『なんだよ。喧嘩か?』
「違うけど……恋って怖いなって。人格変えちゃうんだもん」
好きな人を前にしても平常心で通常運転できる人なんてこの世にいるとは思えない。
もしかしたら、これを何度か繰り返していけば何人目かで慣れていくものなのだろうか。
だから初恋は叶わないなんてジンクスがあるのかな。