もう一度、重なる手
「いいかどうかじゃなくて、どうしたいかはフミが決めていいんだよ。俺は、またフミと一緒に住めたらいいなって思うから誘ってる」
「私が……」
「そうだよ。フミが一緒に暮らしてくれるなら、もうちょっと広い部屋に引っ越そっか。ベッドがロフトにある部屋じゃ、フミのこと簡単に押し倒せないし」
アツくんが冗談交じりに笑って額にキスをしてくる。
「またからかって……」
顔を赤くして目を伏せると、アツくんがそっと私の髪を撫でてきた。
「からかってないし、フミはゆっくり考えてから決めてくれたらいいよ。返事は急がないから」
「え……?」
視線をあげた私に、アツくんが優しく微笑みかけてくる。
「その代わり、一緒に住んだら、俺はもう一生フミのこと手放すつもりはないよ」
一生——?
アツくんの言葉を頭の中で反芻する。しばらくして、その真意に気付くと、私の心音が徐々に加速していった。