もう一度、重なる手
不貞腐れたフリをして、アツくんに背を向けるようにクルリと横を向いたら、「フミ」と愛おしそうに呼ばれた。
ドクンと震える胸の前で拳を握って押し当てると、アツくんが私を背中から抱きしめて首筋に顔を擦り寄せてくる。頸に唇が触れ、強く吸われて、身体がビクつく。
「アツくん……」
吐息とともに名前を呼ぶと、アツくんが私の後ろで少し動いて、耳に唇を寄せてきた。
「フミ、俺と一緒に住む気はない?」
「え……?」
「最近ずっと考えてたんだ。そのほうが一緒にいられる時間も長くなるし。俺の心配も減るから」
最初は幻聴かと思った。
だけど、アツくんは本気で私と一緒に住むことを考えてくれているらしい。
「いい、の……?」
ドキドキしながら振り向くと、アツくんが眉尻を下げて苦笑いした。