この胸が痛むのは
「ごめんなさい、お姉様は今日はお友達のところに行かれてて」

「え? ……あぁ、聞いているよ。
 ライト伯爵令嬢のところでお茶会らしいね」


そうですよね、私から聞かなくても。
姉の事ならご存知ですよね。


「アグネスの都合を教えて欲しいんだけど、夏休みに、王家の別荘に招待をしたいと思ってるんだけど……」

それは私も、姉と一緒にご招待してくださる、ということなのでしょうか?
残念ですが、お断り致します。
私は祖母のところへ行きますね。


「祖母が旅行へ連れて行ってくださるそうなんです」

祖母からは夏休みには旅行に行きましょう、貴女の好きなところへ連れていってあげる、と言って貰っていたのです。
母はまた反対するかも知れませんが、サマーシーズンは社交が盛んに行われるので、母は王都から離れられません。
父からの反対はないと思います。


「旅行へ? 何処へ?」

確定も、祖母にお願いさえしていない旅行の話をしなくてはいけなくなって。
咄嗟に頭に浮かんだ場所は。


「トルラキア……トルラキアへ行って……」

「トルラキア? それじゃクラリスも?」
< 136 / 722 >

この作品をシェア

pagetop