この胸が痛むのは
それにもし、結局戻ってこなくても。
赤い瞳じゃなくても。
男子じゃなくても。
後継者の条件を変えていこうと決めていた。


俺はもうミハンとは呼ばれない、これから先は
イシュトヴァーンだ。
ここからが新生ストロノーヴァなのだから。


そう決意したイシュトヴァーンは、今はまだ知らない。



次にノイエが助けを求めて、この部屋に駆け込んでくるのは、18年後の事だ。
22歳年下の、バロウズのフラナガン公女の
デビュタントのパートナーを引き受けたばかりに公女から怒涛の如く口説かれる様になり、周囲に助けを求めても、誰も助けてくれない、と。


『フラナガンの懐刀』と呼ばれるマーシャル伯爵は、ノイエの情報を流して裏で公女を手助けしていたし、
怒れるフラナガン公爵閣下を、唯一諫める事が可能な公爵夫人は
『だって、血筋なのだから』と、却って煽るような事を仰って、笑っているだけ。
公爵閣下においては、いつか御恩をお返しすると決めていたのに、このままでは私は影を送られてしまう、と。


結局、公爵閣下の『周囲から助けて貰う才能』を受け継ぎ、公爵夫人に似て『自分の思い通りにする』公女に、ノイエが捕まり、公爵閣下が折れて。

純血主義をミハンの代で捨てたストロノーヴァ公爵家に、バロウズの血筋が入ることになり。
やがてトルラキア王国初の赤い瞳の女公爵が誕生するのは、それより、もっともっと先の話。


新しいストロノーヴァの扉を開く事になるのが
自分だと。


イシュトヴァーン・ミハンは今はまだ知らない。




 サイドストーリー*おわり









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