研がれる私/長編エロティックミステリー
愛するが故…③


私たちのイカレた、自作自演のストーリー…

もうぶっちゃけ、現実だかフィクションだか、まやかしだかマジだかガチンコだか、どうにもわからなくなってきた

刺激を求めつづけてきてカレと私…

康友は、私たち二人をその刺激と結婚した者同士と言うけれど…

確かに私もこの男と出会ってから、そう思い込んでいた

でも実際にはちょっと違うと、今日、カレに研がれて私は気づいた


***


同じ刺激でも、私は心躍る好奇心の先にある”明”

対して石神康友にとっての今私に求める刺激の正体は、絶望を忘れるためのモルヒネ…

要は”陰”よ

カレにとってのその場合の絶望とは…⁉

おそらくは…、心の奥底にめり込んだ不治の疵(キズ)だと思う

刺激を許されない形で欲し、現実にそれを貪ったカレは、その忘れられない刺激を取り除く手段を逆療法にすがった

私はとうとう、そんな刺激中毒に蝕まれる悲しい康友の仮面の下を覗いてしまったのよ

フツーの人間には決して正視できないはずの、目がつぶれるくらいの”それ”を…

刺激にうふふってことで、これまでずっと生きてきた自称、粗悪淑女の私…、宮本ルイ

その私がある意味、死んじゃったのかも

今晩、カレに研がたことで…


***


あの激しい行為の後、二人は床にヘナヘナとへたり込んで、しばらく、だらしなく下半身を晒したまま横になってた

互いに放心状態で…

その後の記憶…

なんでか、あいまいで、良く覚えていない

気が付くと自分の部屋に戻ってた…

そんな感覚だった

自分は自分から抜けちゃった…

今思うと、そうとも感じられる


***


ただ別れ際、カレの私に言放った呟きのような言葉は、はっきりと耳に残ってるわ

「…お前の気持ち、本気度は認める。だけど、死を前にしたリアルな”感じ”は所詮、バーチャルなものでしかない。”それ”がどんなものかは、オレがお前を殺す瞬間、全部わかる。それこそ一瞬ですべてがな。逆を言えば、それまでは知ることができない。本質では何も…。今日の”儀式”を済ませたルイでも、そこまではムリさ。…お前を愛するオレとしては、正直、不憫に感じる」

康友…、私も今となってはあなたが不憫で仕方ないよ




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