さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
光莉は無意識に口にしていた。これからまた籠の中の鳥にならなければならない。お腹の子のこともいつまで隠し通せるものか。答えは出ていない。一番は、邸から出て子どもを産むことだ。
光莉がそっとお腹に触れると、颯太はピンときたらしい。
「待って。光莉さん、ひょっとして妊娠してるの?」
光莉は頷くことなくただ黙っていた。
今さら颯太が光莉を危険な目に合わせるとは思わなかったが、監視はされているかもしれないからだ。
しばしふたりの間に沈黙が流れた。
「手伝ってあげようか」
颯太の言葉に、光莉は弾かれたように彼を見た。
「忍びらしく、あなたをこっそり連れ出して逃げることくらいはわけないよ。こっちは色々そういう伝手がある」
冗談で言っているわけではないということが、彼の表情から伝わってくる。
光莉の中に迷いが生じた。
「勘違いしないでほしいんだけど、そそのかすつもりで言ったんじゃないよ。これは、あなた次第だ。生活の面倒まで見られないから、光莉さんにどこか行く当てがあるなら……だけどね」
行く当てと聞いて、光莉が思い浮かぶのは金沢の実家と山谷食品のこと。けれど、せいぜい実家に籠城するだけで関の山だろう。すぐに連れ戻されるのが目に見える。それでは意味がない。
「それと、忘れたわけじゃないよね? あの家から逃げれば、あの人にあの写真を突き付けられることになる」
乱暴されたと見せかけたあの蔵での出来事が再び鮮明に蘇ってきて、光莉と颯太はお互いに気まずくなり目を逸らした。
「……あれを使って、俺との関係を歪曲されて吹聴されるかもしれない。光莉さんのお腹の子の父親は、あの人じゃなくて俺だってことにされるかもしれない。汚い女とは手を切れと言い募るかもしれない。スキャンダルをでっちあげるかもしれない。お腹の子だけを奪って、あなたを追い出すかもしれない。新しい婚約者にすげ替えて、お腹の子は俺のように忍びをさせられ家畜にされる。反論を阻止するために、山谷食品を今からでも潰すことだってわけないさ。修蔵の考えそうなことはいくらだって何だって思いつくよ」
颯太は乾いたため息をついた。
「颯太くんの考えは間違っていないと思う」
【余計なことを喋れば、すべて容赦なく潰す】
スマホに残されたメッセージを表示し、颯太にそれを見せた。颯太はかぶりを振った。
「その送り主は俺ではないね」
光莉がそっとお腹に触れると、颯太はピンときたらしい。
「待って。光莉さん、ひょっとして妊娠してるの?」
光莉は頷くことなくただ黙っていた。
今さら颯太が光莉を危険な目に合わせるとは思わなかったが、監視はされているかもしれないからだ。
しばしふたりの間に沈黙が流れた。
「手伝ってあげようか」
颯太の言葉に、光莉は弾かれたように彼を見た。
「忍びらしく、あなたをこっそり連れ出して逃げることくらいはわけないよ。こっちは色々そういう伝手がある」
冗談で言っているわけではないということが、彼の表情から伝わってくる。
光莉の中に迷いが生じた。
「勘違いしないでほしいんだけど、そそのかすつもりで言ったんじゃないよ。これは、あなた次第だ。生活の面倒まで見られないから、光莉さんにどこか行く当てがあるなら……だけどね」
行く当てと聞いて、光莉が思い浮かぶのは金沢の実家と山谷食品のこと。けれど、せいぜい実家に籠城するだけで関の山だろう。すぐに連れ戻されるのが目に見える。それでは意味がない。
「それと、忘れたわけじゃないよね? あの家から逃げれば、あの人にあの写真を突き付けられることになる」
乱暴されたと見せかけたあの蔵での出来事が再び鮮明に蘇ってきて、光莉と颯太はお互いに気まずくなり目を逸らした。
「……あれを使って、俺との関係を歪曲されて吹聴されるかもしれない。光莉さんのお腹の子の父親は、あの人じゃなくて俺だってことにされるかもしれない。汚い女とは手を切れと言い募るかもしれない。スキャンダルをでっちあげるかもしれない。お腹の子だけを奪って、あなたを追い出すかもしれない。新しい婚約者にすげ替えて、お腹の子は俺のように忍びをさせられ家畜にされる。反論を阻止するために、山谷食品を今からでも潰すことだってわけないさ。修蔵の考えそうなことはいくらだって何だって思いつくよ」
颯太は乾いたため息をついた。
「颯太くんの考えは間違っていないと思う」
【余計なことを喋れば、すべて容赦なく潰す】
スマホに残されたメッセージを表示し、颯太にそれを見せた。颯太はかぶりを振った。
「その送り主は俺ではないね」