さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
「罪滅ぼしとして、あなたが望むなら、その願いは叶えてあげるよ。よく考えて」
颯太は名刺サイズの紙を光莉に手渡した。知らない番号とアドレスだ。
「適当な名前で登録してその紙は捨てて。履歴は残さないように気を付けて」
光莉は黙ったまま頷く。颯太はじゃあ、と踵を返した。
これこそが悪魔の契約だとしても、光莉にはもう選択肢が残されていなかった。
(律樹さん、ごめんね……もう、大事な人が傷つくのを見るのも、失うのもいやなの。あなたを守りたい。この子は私が大事に育てるから……だから許してほしい)
翌日――。
「私と別れてほしい」
光莉は律樹とふたりきりになってから、そう告げた。
常盤家を出て行くためには、律樹にも協力してもらわなければ無理だと颯太と話して決めたことだった。
きっと律樹は光莉のためならば身を引くだろう。そのために協力は惜しまないだろう。それなら、それを利用して、無理矢理に逃げ出すよりも、律樹に手助けをしてもらった方がいいという結論が出たのだ。
そのためには、彼を騙し、偽り、傷つけなければならない。どんなに心が痛くても、この先の未来のために、乗り越えなくてはならない。
「本気で言っているの?」
律樹は光莉の心を覗き込むように問いかけてきた。目を逸らしたら追及されそうで、光莉は必死にこらえた。
「元々、政略結婚からはじまったんだし、父が死んでしまって、山谷食品を守る意味もなくなってしまった。ご当主はあなたがこの家を継いでくれたらそれでいい。今の私を縛っているのは……律樹さんだけなのよ」
そう、修蔵の執着心はすべて律樹に向けられたもの。今、律樹と離れなければ、お腹の子を守ることはできない。
「耐えられなくなった? 悩んでいることがあるなら言って。俺が必ず力になる」
「そういうことじゃないの」
「常盤家から離れたいなら、俺も一緒に出て行こう」
どこまでも光莉のことを考えてくれている律樹を愛おしく思う。
「そんなことできるはずないでしょう。あなたは望まれてここにいるんだもの。そんなことはできないってあなたが一番よくわかっているはずよ」
律樹の表情が苦悶に歪む。離すまいと、光莉を閉じ込めるように抱きしめた。
「君を手放したくない。頼む。もう少しだけ時間をくれないか。俺が必ず君を守るから。そのために俺はっ」
律樹の言葉を遮り、光莉は頭を振った。
颯太は名刺サイズの紙を光莉に手渡した。知らない番号とアドレスだ。
「適当な名前で登録してその紙は捨てて。履歴は残さないように気を付けて」
光莉は黙ったまま頷く。颯太はじゃあ、と踵を返した。
これこそが悪魔の契約だとしても、光莉にはもう選択肢が残されていなかった。
(律樹さん、ごめんね……もう、大事な人が傷つくのを見るのも、失うのもいやなの。あなたを守りたい。この子は私が大事に育てるから……だから許してほしい)
翌日――。
「私と別れてほしい」
光莉は律樹とふたりきりになってから、そう告げた。
常盤家を出て行くためには、律樹にも協力してもらわなければ無理だと颯太と話して決めたことだった。
きっと律樹は光莉のためならば身を引くだろう。そのために協力は惜しまないだろう。それなら、それを利用して、無理矢理に逃げ出すよりも、律樹に手助けをしてもらった方がいいという結論が出たのだ。
そのためには、彼を騙し、偽り、傷つけなければならない。どんなに心が痛くても、この先の未来のために、乗り越えなくてはならない。
「本気で言っているの?」
律樹は光莉の心を覗き込むように問いかけてきた。目を逸らしたら追及されそうで、光莉は必死にこらえた。
「元々、政略結婚からはじまったんだし、父が死んでしまって、山谷食品を守る意味もなくなってしまった。ご当主はあなたがこの家を継いでくれたらそれでいい。今の私を縛っているのは……律樹さんだけなのよ」
そう、修蔵の執着心はすべて律樹に向けられたもの。今、律樹と離れなければ、お腹の子を守ることはできない。
「耐えられなくなった? 悩んでいることがあるなら言って。俺が必ず力になる」
「そういうことじゃないの」
「常盤家から離れたいなら、俺も一緒に出て行こう」
どこまでも光莉のことを考えてくれている律樹を愛おしく思う。
「そんなことできるはずないでしょう。あなたは望まれてここにいるんだもの。そんなことはできないってあなたが一番よくわかっているはずよ」
律樹の表情が苦悶に歪む。離すまいと、光莉を閉じ込めるように抱きしめた。
「君を手放したくない。頼む。もう少しだけ時間をくれないか。俺が必ず君を守るから。そのために俺はっ」
律樹の言葉を遮り、光莉は頭を振った。