さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
光莉は迷いを振り切るように、即座に頷く。
「光莉さん には幸せになる権利があるし、幸せになってほしいと思ってるよ」
颯太は言って、軽ワゴン車を走らせた。
遠ざかる景色に目もくれず、光莉が黙ったまま俯いていると、颯太は大仰にため息をついた。
「泣きたいときは泣いてもいいんじゃないの。もうそろそろ限界でしょ」
「……平気よ。泣いてる場合じゃないもの」
光莉は膝元で手をギュッと握った。
「そう。頼もしいことだね」
本当はすぐにでも涙腺が決壊しそうだった。でも、今告げたとおり 、泣いている場合ではない。現状を打破するためには、まずは無事に目的の場所までたどり着かなければならないのだから。光莉は涙がこぼれないように、ギュッと唇を噛んだ。
光莉が目指したのは慣れ親しんだ石川県だった。しかし実家そして山谷食品の事業所や工場のある金沢市内にいれば、当然居所が知られる可能性が高まってしまう。そこで、光莉は山谷食品の工場に古くから勤めていた従業員の三津早苗の元を頼った。
幸雄が亡くなる少し前、早苗は腰を痛めて工場を辞めていた。今は能(の)登(と)半島の北西にある輪(わ)島(じま)市にある実家に帰っている。早苗に事情を話して新居が決まるまで身を寄せさせてもらえないか相談すると、息子夫婦が三年前にワイナリーの経営をはじめるために家を出ていったらしく、今は部屋が余っているらしい。家事手伝いをする代わりに、しばらく置いてもらうことになった。
東京を出発したあと、その日の夕方には金沢市に入り、それからビジネスホテルに一泊し、翌朝また金沢市から二時間ほどかけて輪島市に入った。
颯太とは道の駅で別れることになった。
「ここからはひとりだけどいい?」
トランクから下ろしてもらった荷物を受け取り、光莉は頷く。
「ここまで連れてきてくれてありがとう。颯太くんがいなければ、叶えられなかったよ」
「いいよ。ドライブは嫌いじゃないし。せいぜい倒れないように頑張りなよ」
照れくさそうに颯太は言って、それから、じゃあねと手を振った。
颯太を見送ったあと、光莉は荷物を持ってスマホで早苗の家までの地図を確認しながら歩いた。
「光莉さん には幸せになる権利があるし、幸せになってほしいと思ってるよ」
颯太は言って、軽ワゴン車を走らせた。
遠ざかる景色に目もくれず、光莉が黙ったまま俯いていると、颯太は大仰にため息をついた。
「泣きたいときは泣いてもいいんじゃないの。もうそろそろ限界でしょ」
「……平気よ。泣いてる場合じゃないもの」
光莉は膝元で手をギュッと握った。
「そう。頼もしいことだね」
本当はすぐにでも涙腺が決壊しそうだった。でも、今告げたとおり 、泣いている場合ではない。現状を打破するためには、まずは無事に目的の場所までたどり着かなければならないのだから。光莉は涙がこぼれないように、ギュッと唇を噛んだ。
光莉が目指したのは慣れ親しんだ石川県だった。しかし実家そして山谷食品の事業所や工場のある金沢市内にいれば、当然居所が知られる可能性が高まってしまう。そこで、光莉は山谷食品の工場に古くから勤めていた従業員の三津早苗の元を頼った。
幸雄が亡くなる少し前、早苗は腰を痛めて工場を辞めていた。今は能(の)登(と)半島の北西にある輪(わ)島(じま)市にある実家に帰っている。早苗に事情を話して新居が決まるまで身を寄せさせてもらえないか相談すると、息子夫婦が三年前にワイナリーの経営をはじめるために家を出ていったらしく、今は部屋が余っているらしい。家事手伝いをする代わりに、しばらく置いてもらうことになった。
東京を出発したあと、その日の夕方には金沢市に入り、それからビジネスホテルに一泊し、翌朝また金沢市から二時間ほどかけて輪島市に入った。
颯太とは道の駅で別れることになった。
「ここからはひとりだけどいい?」
トランクから下ろしてもらった荷物を受け取り、光莉は頷く。
「ここまで連れてきてくれてありがとう。颯太くんがいなければ、叶えられなかったよ」
「いいよ。ドライブは嫌いじゃないし。せいぜい倒れないように頑張りなよ」
照れくさそうに颯太は言って、それから、じゃあねと手を振った。
颯太を見送ったあと、光莉は荷物を持ってスマホで早苗の家までの地図を確認しながら歩いた。