さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
ナビに頼ると細かい道に迷いそうになってしまう。右往左往していると、途中まで早苗が迎えにきてくれたらしい。彼女が向こうから手を振ってやってくるのが見え、光莉はたちまち胸がいっぱいになった。
「光莉ちゃん、随分久しぶりやねえ。元気にしとったの? なんだか痩せたみたいやないの」
「ご無沙汰していました。早苗さんは、腰の方は大丈夫ですか?」
「あーあ、まぁ年やからね。実を言うと、仕事はいつ辞めても良かったんよ。息子夫婦が出ていって寂しくなったのもあってここ数年は気を紛らわすために続けていたようなものでぇ、元々あの工場が好きやったからいたようなもんやし」
「ムードメーカーの早苗さんがいなくなって、みんな寂しがってるでしょうね」
「私のことより、光莉ちゃんの話。社長のことは残念やったね。あんまりにも急やったよね……」
「はい……」
「社長、東京に出て行った光莉ちゃんのこと、よう心配していたんやよ。毎日気にかけてたわ。あんまりしつこくするのもいけないかって悩んでたみたいでねぇ」
「父には心配させたくなかったのに、結局、心配させちゃったまま……こんなことになって……本当に申し訳なく思っています」
涙がこみ上げてきて、我慢すればするほど、言葉が詰まってしまう。
「光莉ちゃん、ずっとそうして自分を責めてきたんやね。こればかりはね、誰のせいでもないよ」
早苗の瞳にも涙が浮かんでいた。まるで自分のことのように、本当の娘にそうするみたいに、強く手を握ってくれる。
「泣きたいときは、ちゃんと泣きなさい」
泣いたらだめだとずっと呪文をかけていた。けれど、光莉はとうとう我慢できなくなってしまった。
ちゃんと泣くということがどういうことか、わかっていなかった。
寂しい、哀しい、辛い、言葉にして、感情のままに泣くことだった。
うんうんと頷きながら背中をさすってくれた早苗の手が、遠き日に亡くなった母の温もりを思い出させてくれ、よりいっそう父のことが恋しくなってしまった。光莉は子どものように泣きじゃくった。
それから――。
早苗の家に到着したあと、光莉は海の見える側の部屋を借りることにした。
「遠慮せずに好きに使ってちょうだい」
「ありがとうございます。早苗さん」
「落ち着いたらご飯にしましょう。気分が良さそうだったら、お手伝いしてくれる?」
「はい。もちろんです」
「光莉ちゃん、随分久しぶりやねえ。元気にしとったの? なんだか痩せたみたいやないの」
「ご無沙汰していました。早苗さんは、腰の方は大丈夫ですか?」
「あーあ、まぁ年やからね。実を言うと、仕事はいつ辞めても良かったんよ。息子夫婦が出ていって寂しくなったのもあってここ数年は気を紛らわすために続けていたようなものでぇ、元々あの工場が好きやったからいたようなもんやし」
「ムードメーカーの早苗さんがいなくなって、みんな寂しがってるでしょうね」
「私のことより、光莉ちゃんの話。社長のことは残念やったね。あんまりにも急やったよね……」
「はい……」
「社長、東京に出て行った光莉ちゃんのこと、よう心配していたんやよ。毎日気にかけてたわ。あんまりしつこくするのもいけないかって悩んでたみたいでねぇ」
「父には心配させたくなかったのに、結局、心配させちゃったまま……こんなことになって……本当に申し訳なく思っています」
涙がこみ上げてきて、我慢すればするほど、言葉が詰まってしまう。
「光莉ちゃん、ずっとそうして自分を責めてきたんやね。こればかりはね、誰のせいでもないよ」
早苗の瞳にも涙が浮かんでいた。まるで自分のことのように、本当の娘にそうするみたいに、強く手を握ってくれる。
「泣きたいときは、ちゃんと泣きなさい」
泣いたらだめだとずっと呪文をかけていた。けれど、光莉はとうとう我慢できなくなってしまった。
ちゃんと泣くということがどういうことか、わかっていなかった。
寂しい、哀しい、辛い、言葉にして、感情のままに泣くことだった。
うんうんと頷きながら背中をさすってくれた早苗の手が、遠き日に亡くなった母の温もりを思い出させてくれ、よりいっそう父のことが恋しくなってしまった。光莉は子どものように泣きじゃくった。
それから――。
早苗の家に到着したあと、光莉は海の見える側の部屋を借りることにした。
「遠慮せずに好きに使ってちょうだい」
「ありがとうございます。早苗さん」
「落ち着いたらご飯にしましょう。気分が良さそうだったら、お手伝いしてくれる?」
「はい。もちろんです」