さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
本当は、食品会社に勤めることや、山谷食品に戻る道も考えた。けれど、さすがに時期尚早だろう。今はそのときではない。何より安定した生活を優先しなければならない。子育てには一日も休みはないのだ。
初めて保育園に預けたとき、光莉と引き離されて大泣きした葵生を見て、光莉も泣きそうになりながら後ろ髪引かれる想い で出社したものだ。しばらくはその繰り返しに耐えながら必死に働いた。葵生と一緒に生きていくために、立ち止まっている暇はなかった。
「あーくん、保育園に行くよ」
光莉は今日もバタバタと出かける準備をしていた。葵生も一歳を過ぎて歩きはじめてから、より 活発になって、ひと筋縄ではいかなくなった。
きゃあきゃあ言いながら部屋を駆け回る我が子をやっとの思いで捕まえ、心からの愛を込めてまんまるの頬へキスをする。
「まっま」
最近、ママという言葉を覚えたらしい。頻繁に口にし、抱きついてくる葵生を愛おしく思う。この子だけ側にいてくれたら他には何も要らないとさえ思うほどの強い気持ちがここにある。それが今の光莉の支えだった。
この日は残業で遅くなってしまい、いつものように仕事を終えた光莉は、すっかり暗くなってしまった外を見て焦った。
暗くなるのも早くなったし、窓の外を見てママが来るのを待っている葵生のことを思うといたたまれなくなる。
何とか預かり時間のうちに保育園に到着し、門を通ろうとしたとき、急ぐあまりに目の前にいる人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
光莉は慌てて謝った。
改めて相手の顔を見たとき、光莉は信じがたい思いで立ちすくんだ。
「どう、して」
あまりにも突然のことに混乱し、光莉はそれ以外言葉にならなかった。
別れたときより髪は少し伸び、以前の柔らかな雰囲気と比べ、情熱をみなぎらせた野心的な貫禄を感じる。一瞬、別人かと見間違う けれど、まぎれもない律樹がそこに立っていたのだ。
「やっと見つけた」
律樹は安堵とも昂揚ともとれるような表情で、声を震わせていた。
やっと見つけた、という言葉をどう捉えるべきか。光莉は声にならないままその場から動けずにいた。
光莉が保育園にくることがわかっていたということは――当然のことながら、光莉に子どもがいるというのを彼は知っていたのだ。いつ、そしてどこで知ったのか。
初めて保育園に預けたとき、光莉と引き離されて大泣きした葵生を見て、光莉も泣きそうになりながら後ろ髪引かれる想い で出社したものだ。しばらくはその繰り返しに耐えながら必死に働いた。葵生と一緒に生きていくために、立ち止まっている暇はなかった。
「あーくん、保育園に行くよ」
光莉は今日もバタバタと出かける準備をしていた。葵生も一歳を過ぎて歩きはじめてから、より 活発になって、ひと筋縄ではいかなくなった。
きゃあきゃあ言いながら部屋を駆け回る我が子をやっとの思いで捕まえ、心からの愛を込めてまんまるの頬へキスをする。
「まっま」
最近、ママという言葉を覚えたらしい。頻繁に口にし、抱きついてくる葵生を愛おしく思う。この子だけ側にいてくれたら他には何も要らないとさえ思うほどの強い気持ちがここにある。それが今の光莉の支えだった。
この日は残業で遅くなってしまい、いつものように仕事を終えた光莉は、すっかり暗くなってしまった外を見て焦った。
暗くなるのも早くなったし、窓の外を見てママが来るのを待っている葵生のことを思うといたたまれなくなる。
何とか預かり時間のうちに保育園に到着し、門を通ろうとしたとき、急ぐあまりに目の前にいる人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
光莉は慌てて謝った。
改めて相手の顔を見たとき、光莉は信じがたい思いで立ちすくんだ。
「どう、して」
あまりにも突然のことに混乱し、光莉はそれ以外言葉にならなかった。
別れたときより髪は少し伸び、以前の柔らかな雰囲気と比べ、情熱をみなぎらせた野心的な貫禄を感じる。一瞬、別人かと見間違う けれど、まぎれもない律樹がそこに立っていたのだ。
「やっと見つけた」
律樹は安堵とも昂揚ともとれるような表情で、声を震わせていた。
やっと見つけた、という言葉をどう捉えるべきか。光莉は声にならないままその場から動けずにいた。
光莉が保育園にくることがわかっていたということは――当然のことながら、光莉に子どもがいるというのを彼は知っていたのだ。いつ、そしてどこで知ったのか。