さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
常盤家を出てからまもなく二年――。
大人になって律樹と再会してから彼と一緒に過ごした時間の方が短く、離れていた月日の方が長い。
それでも律樹は想っていてくれた。変わらぬ想いのまま愛してくれていた。
そのことに胸がいっぱいで言葉にならない。
そして光莉もまたどれほど時が経過しても色褪せない彼への想いを感じていた。
「君のお父さんの前で、君に伝えたいことがあるんだ」
律樹がそう言い、光莉の方へ向き直った。
「俺と、結婚してほしい」
目の前には婚約指輪が差し出されていた。
「この指輪は……」
はっきりと覚えている。律樹が贈ってくれた婚約指輪だ。忘れるはずもない。あのとき、どれほど嬉しかったことか。
「これは君に誓った想いが詰まってるから、持っていてほしい。そして、遠回りしてしまったけれど、今度こそ……結婚式をしよう。ふたりで、そして三人で幸せになろう」
律樹の想いを込めたプロポーズに、光莉の瞳から涙が溢れていく。
「はい」
金木犀の香りがふわりと漂い、懐かしさと愛おしさを同時にくれる。心地よい風のざわめきは祝福の声だろうか。ふたりの間に天から降りてきたような光がまばゆく輝いていた。
ふたり揃って保育園に迎えに行くと、葵生はいつものように光莉をめがけて抱きついてきたが、隣にいた律樹を目にした途端、きょとんと首を傾げた。それからもごもごと口のあたりを動かしている。だんだんとパパという存在を知りはじめたらしく、迎えにきた他の園児のお父さんの姿を目で追い、改めて律樹を見た。
「あーくん、あのね」
光莉が葵生にどう言おうか考えあぐねていると、葵生はおずおずと小さな手を伸ばした。
「えっと、抱っこしてもいいのかな?」
一番戸惑っていたのは律樹の方だった。
「ぱっぱ?」
一生呼ぶことがないかもしれなかった言葉を、今、葵生が口にした。その衝撃に、光莉はこみ上げてくるものを感じ、言葉にならないまま思わず口元を押さえた。
「呼んでくれるのか、葵生……」
律樹が泣き笑いするみたいに表情を崩して、それから葵生を抱きしめ、頬ずりをする。
「ぱっぱぁ!」
すっかりお気に入りになったらしい、律樹にしがみついて離れない葵生を見て、光莉もまた律樹と似た表情をしてしまっていたかもしれない。
大人になって律樹と再会してから彼と一緒に過ごした時間の方が短く、離れていた月日の方が長い。
それでも律樹は想っていてくれた。変わらぬ想いのまま愛してくれていた。
そのことに胸がいっぱいで言葉にならない。
そして光莉もまたどれほど時が経過しても色褪せない彼への想いを感じていた。
「君のお父さんの前で、君に伝えたいことがあるんだ」
律樹がそう言い、光莉の方へ向き直った。
「俺と、結婚してほしい」
目の前には婚約指輪が差し出されていた。
「この指輪は……」
はっきりと覚えている。律樹が贈ってくれた婚約指輪だ。忘れるはずもない。あのとき、どれほど嬉しかったことか。
「これは君に誓った想いが詰まってるから、持っていてほしい。そして、遠回りしてしまったけれど、今度こそ……結婚式をしよう。ふたりで、そして三人で幸せになろう」
律樹の想いを込めたプロポーズに、光莉の瞳から涙が溢れていく。
「はい」
金木犀の香りがふわりと漂い、懐かしさと愛おしさを同時にくれる。心地よい風のざわめきは祝福の声だろうか。ふたりの間に天から降りてきたような光がまばゆく輝いていた。
ふたり揃って保育園に迎えに行くと、葵生はいつものように光莉をめがけて抱きついてきたが、隣にいた律樹を目にした途端、きょとんと首を傾げた。それからもごもごと口のあたりを動かしている。だんだんとパパという存在を知りはじめたらしく、迎えにきた他の園児のお父さんの姿を目で追い、改めて律樹を見た。
「あーくん、あのね」
光莉が葵生にどう言おうか考えあぐねていると、葵生はおずおずと小さな手を伸ばした。
「えっと、抱っこしてもいいのかな?」
一番戸惑っていたのは律樹の方だった。
「ぱっぱ?」
一生呼ぶことがないかもしれなかった言葉を、今、葵生が口にした。その衝撃に、光莉はこみ上げてくるものを感じ、言葉にならないまま思わず口元を押さえた。
「呼んでくれるのか、葵生……」
律樹が泣き笑いするみたいに表情を崩して、それから葵生を抱きしめ、頬ずりをする。
「ぱっぱぁ!」
すっかりお気に入りになったらしい、律樹にしがみついて離れない葵生を見て、光莉もまた律樹と似た表情をしてしまっていたかもしれない。