さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
「そんなに萎縮しないでくださいよ。我々はあなたを歓迎するために集まったのですから」
両手を大仰に広げ、修蔵は目尻に皺を刻む。麻美と雄介はそれぞれそっぽを向いている。さっきの喧嘩で夫婦間には冷たい溝ができてしまっている様子だ。修蔵も何かを察したようだが、あえて指摘はしなかった。
「……ありがとうございます」
粛々と、光莉は修蔵の言葉をただ受け止めることにした。
「ただ――」
と、修蔵が声のトーンをさげた。
「うちに入るからには、相応の覚悟と、教養を磨いてもらわねばならない。以前のように自由に振る舞える とは思わないように。それだけは理解していただきたい。いいかね」
見下すような、そして射貫くような視線に、光莉は息をのんだ。粗相があれば、即座に切りつけられてもおかしくないような鋭い眼差しだった。
「父さん、光莉のことは俺に任せてもらえませんか。今後は――」
庇い立てるように律樹が一歩前に出ると、修蔵は面倒くさそうに頷く。
「ああ、皆まで言わないでいい。もちろん、私が逐一口を挟む気はないよ。おまえが次期当主としての自覚を持ち、仕事を疎かにしない限りはね」
「はい。心得ております」
「ならば、よろしい。ああ、結婚式についてだが、自由に決めて構わない。私の提案としては、このような状況なのだから、あえて盛大にする必要もなかろう……ということだ。どうかね?」
このような状況……つまりは、政略結婚のこと。光莉は小さく手をきゅっと握りしめる。
「そのつもりですが、光莉の希望も聞いた上で、よく相談します」
律樹が一旦光莉の方を見てから、修蔵へ告げた。
「ああ。話はそれだけでいいかな。悪いが、私は忙しい身なのでね。これからまたすぐに出なければならないんだ」
後方で待機していた秘書へと、修蔵が手を上げて合図を送る。
「では、行こうか」
「もう? 食事くらいしていけばいいのに」
雄介がぽつりと呟く。父に意見したことを修蔵に見咎められると、雄介は慌てて咳払いをする。
「私たち、お義父様とお食事ができるのを楽しみにしていたんですよ」
麻美がちらりと光莉の方を見ながら残念そうに言った。彼女の声には媚びるような色がある。
「おまえたちでゆっくり過ごすといい。きょうだい、そして夫婦水入らずでね」
修蔵はそう言うと、控えさせていた秘書らしき男性と共に外へ出て行ってしまった。
両手を大仰に広げ、修蔵は目尻に皺を刻む。麻美と雄介はそれぞれそっぽを向いている。さっきの喧嘩で夫婦間には冷たい溝ができてしまっている様子だ。修蔵も何かを察したようだが、あえて指摘はしなかった。
「……ありがとうございます」
粛々と、光莉は修蔵の言葉をただ受け止めることにした。
「ただ――」
と、修蔵が声のトーンをさげた。
「うちに入るからには、相応の覚悟と、教養を磨いてもらわねばならない。以前のように自由に振る舞える とは思わないように。それだけは理解していただきたい。いいかね」
見下すような、そして射貫くような視線に、光莉は息をのんだ。粗相があれば、即座に切りつけられてもおかしくないような鋭い眼差しだった。
「父さん、光莉のことは俺に任せてもらえませんか。今後は――」
庇い立てるように律樹が一歩前に出ると、修蔵は面倒くさそうに頷く。
「ああ、皆まで言わないでいい。もちろん、私が逐一口を挟む気はないよ。おまえが次期当主としての自覚を持ち、仕事を疎かにしない限りはね」
「はい。心得ております」
「ならば、よろしい。ああ、結婚式についてだが、自由に決めて構わない。私の提案としては、このような状況なのだから、あえて盛大にする必要もなかろう……ということだ。どうかね?」
このような状況……つまりは、政略結婚のこと。光莉は小さく手をきゅっと握りしめる。
「そのつもりですが、光莉の希望も聞いた上で、よく相談します」
律樹が一旦光莉の方を見てから、修蔵へ告げた。
「ああ。話はそれだけでいいかな。悪いが、私は忙しい身なのでね。これからまたすぐに出なければならないんだ」
後方で待機していた秘書へと、修蔵が手を上げて合図を送る。
「では、行こうか」
「もう? 食事くらいしていけばいいのに」
雄介がぽつりと呟く。父に意見したことを修蔵に見咎められると、雄介は慌てて咳払いをする。
「私たち、お義父様とお食事ができるのを楽しみにしていたんですよ」
麻美がちらりと光莉の方を見ながら残念そうに言った。彼女の声には媚びるような色がある。
「おまえたちでゆっくり過ごすといい。きょうだい、そして夫婦水入らずでね」
修蔵はそう言うと、控えさせていた秘書らしき男性と共に外へ出て行ってしまった。