さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
「邸の中がぐちゃぐちゃになってるのよ! 今あなたの部屋から猫が出てきたのを見たわ、きっとあの野良猫たちのせい! 責任は誰がとるつもり? 住み着いてしまったらどうするの」
猫を連れ込んだのは自分ではない、そう反論しようと口を開きかけた光莉だが、麻美はそれに構うことなく言葉を続ける。
「ああひどい部屋、汚らわしい。動物なんて大嫌いよ」
麻美は両腕をさすりながら、部屋の惨状を見渡した。
「……あのままひとりで閉じこもっていたらよかったのに。財産を横取りする泥棒猫にはお似合いだわ」
「なっ……」
(なんで閉じ込められていたこと……ドアが開かなかったことを知っているの?)
光莉が言葉を失っている間に、麻美は踵を返した。
麻美はどこから見ていたのか。バルコニーから庭へと出ていった二匹の猫を、廊下から現れた彼女が見ることができたのだろうか? もしやそもそも彼女の仕業なのではないのだろうか。そう疑わざるを得ない。
「った……」
光莉は肘のあたりを押さえた。
「それ、猫に引っかかれた?」
颯太に指摘された場所が赤くなっていた。
「わからないけど、平気。慌ててぶつけたのかもしれない」
「きちんと診てもらった方がいいよ。感染症にかかりでもしたら大変だから」
心配してくれるのはありがたかったが、光莉は先ほどの麻美の態度が気になって仕方なかった。
「おねえさんはここにいて。執事の田中さんを呼んでくるよ」
颯太は言って風のように駆けだす。その後、すぐに事情を聞きつけた田中がやってきた。
「いかがなさいましたか」
田中はいつも表情が乏しい。冷静でいてもらえることは頼もしいが、光莉はまだ田中には遠慮が先立ってしまう。とりあえず先ほどの状況を詳しく説明することにした。
「実は……」
「災難でございましたね。すぐに我々が対処いたしましょう。お部屋の掃除が終わるまで別室でお過ごしください。その間に、お怪我の手当もいたしましょう」
颯太は遠いところに控えていて、手を振っている。光莉はありがとう、と心の中で呟き、手を振り返した。
それから田中に別室へと案内してもらい、呼び出しに応じたメイドに怪我の手当をしてもらったが、それでも、光莉はいつまでも霧の中にいるようなすっきりしない気分だった。
猫を連れ込んだのは自分ではない、そう反論しようと口を開きかけた光莉だが、麻美はそれに構うことなく言葉を続ける。
「ああひどい部屋、汚らわしい。動物なんて大嫌いよ」
麻美は両腕をさすりながら、部屋の惨状を見渡した。
「……あのままひとりで閉じこもっていたらよかったのに。財産を横取りする泥棒猫にはお似合いだわ」
「なっ……」
(なんで閉じ込められていたこと……ドアが開かなかったことを知っているの?)
光莉が言葉を失っている間に、麻美は踵を返した。
麻美はどこから見ていたのか。バルコニーから庭へと出ていった二匹の猫を、廊下から現れた彼女が見ることができたのだろうか? もしやそもそも彼女の仕業なのではないのだろうか。そう疑わざるを得ない。
「った……」
光莉は肘のあたりを押さえた。
「それ、猫に引っかかれた?」
颯太に指摘された場所が赤くなっていた。
「わからないけど、平気。慌ててぶつけたのかもしれない」
「きちんと診てもらった方がいいよ。感染症にかかりでもしたら大変だから」
心配してくれるのはありがたかったが、光莉は先ほどの麻美の態度が気になって仕方なかった。
「おねえさんはここにいて。執事の田中さんを呼んでくるよ」
颯太は言って風のように駆けだす。その後、すぐに事情を聞きつけた田中がやってきた。
「いかがなさいましたか」
田中はいつも表情が乏しい。冷静でいてもらえることは頼もしいが、光莉はまだ田中には遠慮が先立ってしまう。とりあえず先ほどの状況を詳しく説明することにした。
「実は……」
「災難でございましたね。すぐに我々が対処いたしましょう。お部屋の掃除が終わるまで別室でお過ごしください。その間に、お怪我の手当もいたしましょう」
颯太は遠いところに控えていて、手を振っている。光莉はありがとう、と心の中で呟き、手を振り返した。
それから田中に別室へと案内してもらい、呼び出しに応じたメイドに怪我の手当をしてもらったが、それでも、光莉はいつまでも霧の中にいるようなすっきりしない気分だった。