さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
「ああ、君を信じているよ。でも、何もなかったとは言えない。実際、君は、傷ついた」
律樹が手に持っていたジャケットで光莉をすっぽりと包んでくれた。それから彼は麻美と雄介に侮蔑の視線を向けた。
「ふたりとも、この部屋から出ていってくれないか。いや、今すぐ出て行け」
怒鳴るわけでもなく淡々とした言葉だったのに、麻美と雄介が一瞬怯んだように見えた。
律樹が怒りをあらわにするのは初めてだったからかもしれない。珍しく麻美は言い返すこともせず、ふたりはそそくさと去って行った。
しばらくすると、口論している声が聞こえたが、もう何も耳にしたくはなくて、光莉は聞こえないふりをした。
「光莉、今はここにいたくないだろう。俺のところに来るんだ」
「……はい」
光莉は律樹に言われるがまま手を引かれ、彼についていった。
律樹はまだ怖い顔をしていた。さっきのことが許せなかったのだろう。彼がこんなふうに苛立つのは本当に初めてだ。
光莉もあまりのことにすっかり脱力していた。
「――ごめんなさい。お騒がせしました。私が夜にうろうろしていたのがよくなかったの」
律樹の部屋に移動したあと、光莉は白井にハーブティーを入れてもらったことを伝えた。
「……そっか」
「美味しかったわ。白井さんのハーブティー」
空気を変えたくて言ったのだが、律樹には聞こえていない様子だ。
「今日、ひどい目にあったんだって? さっき田中から猫の話を聞いたよ」
「うん……」
「どんどん嫌がらせがエスカレートしてるようだ。さすがに見過ごせない。これからは一緒の寝室にしよう」
律樹が心配してくれている。
たしかに今日だけでも色々なことがありすぎた。いつか取り返しのつかないことが起こるかもしれない。そんな恐ろしい不安を植え付けられた一日だった。
「でも……」
「極力、俺が不在のときは鍵をかけておくんだ。白井さんや田中には見回りを強化するように言っておく」
律樹が申し訳なさそうな顔をしている。そのことに、光莉の方が不甲斐ない気持ちになった。
「私も、負けないようにする。弱みを見せないように、もっとしっかり頑張るよ」
律樹が光莉の頬にそっと触れる。
「君はちゃんと頑張ってるよ。だが、力じゃ敵わないことだってある。正攻法だけが正解じゃないこともある。それは君が一番知ってることだろ」
律樹が手に持っていたジャケットで光莉をすっぽりと包んでくれた。それから彼は麻美と雄介に侮蔑の視線を向けた。
「ふたりとも、この部屋から出ていってくれないか。いや、今すぐ出て行け」
怒鳴るわけでもなく淡々とした言葉だったのに、麻美と雄介が一瞬怯んだように見えた。
律樹が怒りをあらわにするのは初めてだったからかもしれない。珍しく麻美は言い返すこともせず、ふたりはそそくさと去って行った。
しばらくすると、口論している声が聞こえたが、もう何も耳にしたくはなくて、光莉は聞こえないふりをした。
「光莉、今はここにいたくないだろう。俺のところに来るんだ」
「……はい」
光莉は律樹に言われるがまま手を引かれ、彼についていった。
律樹はまだ怖い顔をしていた。さっきのことが許せなかったのだろう。彼がこんなふうに苛立つのは本当に初めてだ。
光莉もあまりのことにすっかり脱力していた。
「――ごめんなさい。お騒がせしました。私が夜にうろうろしていたのがよくなかったの」
律樹の部屋に移動したあと、光莉は白井にハーブティーを入れてもらったことを伝えた。
「……そっか」
「美味しかったわ。白井さんのハーブティー」
空気を変えたくて言ったのだが、律樹には聞こえていない様子だ。
「今日、ひどい目にあったんだって? さっき田中から猫の話を聞いたよ」
「うん……」
「どんどん嫌がらせがエスカレートしてるようだ。さすがに見過ごせない。これからは一緒の寝室にしよう」
律樹が心配してくれている。
たしかに今日だけでも色々なことがありすぎた。いつか取り返しのつかないことが起こるかもしれない。そんな恐ろしい不安を植え付けられた一日だった。
「でも……」
「極力、俺が不在のときは鍵をかけておくんだ。白井さんや田中には見回りを強化するように言っておく」
律樹が申し訳なさそうな顔をしている。そのことに、光莉の方が不甲斐ない気持ちになった。
「私も、負けないようにする。弱みを見せないように、もっとしっかり頑張るよ」
律樹が光莉の頬にそっと触れる。
「君はちゃんと頑張ってるよ。だが、力じゃ敵わないことだってある。正攻法だけが正解じゃないこともある。それは君が一番知ってることだろ」