さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
「それじゃあ、もしかして……だから、政略結婚を考えたの? それがあなたの本音?」
「君の逃げ道を塞ぐような卑怯な真似をした俺を許してくれなんて言わない。ただ、それ以上に君を愛すると誓うよ」
「――ん」
 唇が触れた瞬間、全身が痺れるような心地になった。その甘い衝撃に動けないでいると、律樹が今度は強引に唇を貪りはじめる。
 息継ぎするまもなく啄まれ、彼の情熱に煽られて、光莉は思わず律樹の頬に両手を伸ばした。脳裏に、中学生の頃に交換した御守のこと、離れ離れになった日々、再会してからのことが溢れるように蘇ってきて、混ざり合っていく。
「御守のこと覚えている?」
「ああ。忘れるはずもない」
 律樹が迷うことなく伝えてくれたことが嬉しくて、彼への想いが溢れていく。
「私も、ずっと好きだった。あなたに会いたいって思ってた。ずっと、好きだったわ」
 言わずにはいられなかった。すると、律樹が弾かれたような顔をして、光莉の唇を奪った。
「んっ……!」
「光莉……」
「律樹さ、……ん、ん」
 程なくしてキスの嵐がやってくる。瞼に、頬に、鼻に、耳に……。
「あっ」
 耳朶に触れられ、ぞくりと震えが走った。
 何度もそこを責められ、光莉は仰け反ってしまう。
「待ってっ……」
 首筋を吸いながら、律樹が光莉の素肌に触れようとする。光莉はびくりと身体を跳ねさせた。律樹の色素の薄い瞳の中に情熱が迸っているのが見える。広い肩幅や逞しい胸板が目の前に迫り、彼をいつも以上に男の人として感じてしまう。
「もう、待つ必要なんてないだろう?」
「だ、だめ。もう少しだけ……」
 息を弾ませながら、光莉は濡れた瞳で律樹を見た。
「どのくらい?」
「息ができるくらい」
 光莉が瞳を潤ませながら訴えると、律樹は微かに笑ったあと、耳の側に唇を寄せて囁いた。
「もう、待てない」
「あっ」
「そんな声を出されたら、ますます待てない」
 律樹が顔を近づけて唇を塞ぐと、舌を絡ませてきた。舌先が痺れるくらい熱烈に求められて、光莉はまた酸素不足になりそうになる。触れている部分が気持ちよくて何も考えられなくなりそうだった。
 指先、伝う舌、濡れた唇。こぼれてくる吐息、その何もかも、愛しくて。夢中で混ざりたくなる。こんな激しい感情が自分の内にあることに、光莉は驚きつつ感動してもいた。
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