さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
光莉は力が抜けたようにその場に座り込んだ。そして両手で顔を覆う。金沢にいる父の幸雄のことを考えていた。
「どうしたの」
「帰りたい。金沢に……父に会いに行きたい」
顔が見たい。話がしたい。もういっそ、真実を伝えてしまった方がいいのではないだろうか。
「あの人と喧嘩でもしたの? ホームシック?」
「そうじゃないよ。ただ、律樹さんには早く会いたい。相談しなきゃ」
早く帰ってきてほしい。そんなわがままは言えない。でも、一刻も早く動かなければならない気がしている。不安で胸が押しつぶされそうだ。
「残念だけど、それは叶わないよ」
「え……」
顔を上げた途端、いきなり颯太に担ぎあげられた。さらに手に持っていたスマホを奪われる。
「何するのっ」
「さあ、何をしようかな」
悪びれもせずあっけらかんと颯太は言った。そこにはいつもの無邪気さとは違う、酷薄さが含まれているように感じた。光莉の顔から血の気が引いた。
「颯太くん、ねえ、離して!」
「暴れても無駄だよ。あなたは、もうどこにも行けない。かわいそうだけど、仕方ないよね。そういう運命だと思うしかないよ」
ざくざくと草花を踏みつけるように颯太が大股で歩く。光莉がいくらもがいても彼の逞しい腕からは逃れられない。スマホに手を伸ばそうものなら、担ぎ直されるだけだった。
「着いたよ。あ~あ、ちょろいもんだな」
颯太の剣呑な響きを伴った声が、蔵の前に響いた。光莉はぎくりと身を強張らせる。
古い蔵はすべて鍵がかかっていて誰も近づかないと彼は言っていた。しかし彼の手には錆びた鍵が持たれていた。彼はその鍵で蔵を開錠する。埃っぽくて黴くさい匂いのする暗がりがぱくりと口を開けていた。
「こんなところで、何、するつもりなの」
光莉が問うより早く、颯太は暗がりの中に入っていき、光莉を適当な場所で下ろした。
「こういうことかな」
颯太に思い切りブラウスを破られ、光莉は恐怖に顔をひきつらせたまま彼を見上げた。
彼は下卑た顔でこちらを見下ろし、「いいアングル」と、愉しげに笑っていた。
「やめて……!」
「本当に乱暴はしないよ。そういう趣味はないから」
淡々と事務作業をこなすように颯太は抑揚のない声で言った。
「だったら、なんのためにこんなことをするの」
「どうしたの」
「帰りたい。金沢に……父に会いに行きたい」
顔が見たい。話がしたい。もういっそ、真実を伝えてしまった方がいいのではないだろうか。
「あの人と喧嘩でもしたの? ホームシック?」
「そうじゃないよ。ただ、律樹さんには早く会いたい。相談しなきゃ」
早く帰ってきてほしい。そんなわがままは言えない。でも、一刻も早く動かなければならない気がしている。不安で胸が押しつぶされそうだ。
「残念だけど、それは叶わないよ」
「え……」
顔を上げた途端、いきなり颯太に担ぎあげられた。さらに手に持っていたスマホを奪われる。
「何するのっ」
「さあ、何をしようかな」
悪びれもせずあっけらかんと颯太は言った。そこにはいつもの無邪気さとは違う、酷薄さが含まれているように感じた。光莉の顔から血の気が引いた。
「颯太くん、ねえ、離して!」
「暴れても無駄だよ。あなたは、もうどこにも行けない。かわいそうだけど、仕方ないよね。そういう運命だと思うしかないよ」
ざくざくと草花を踏みつけるように颯太が大股で歩く。光莉がいくらもがいても彼の逞しい腕からは逃れられない。スマホに手を伸ばそうものなら、担ぎ直されるだけだった。
「着いたよ。あ~あ、ちょろいもんだな」
颯太の剣呑な響きを伴った声が、蔵の前に響いた。光莉はぎくりと身を強張らせる。
古い蔵はすべて鍵がかかっていて誰も近づかないと彼は言っていた。しかし彼の手には錆びた鍵が持たれていた。彼はその鍵で蔵を開錠する。埃っぽくて黴くさい匂いのする暗がりがぱくりと口を開けていた。
「こんなところで、何、するつもりなの」
光莉が問うより早く、颯太は暗がりの中に入っていき、光莉を適当な場所で下ろした。
「こういうことかな」
颯太に思い切りブラウスを破られ、光莉は恐怖に顔をひきつらせたまま彼を見上げた。
彼は下卑た顔でこちらを見下ろし、「いいアングル」と、愉しげに笑っていた。
「やめて……!」
「本当に乱暴はしないよ。そういう趣味はないから」
淡々と事務作業をこなすように颯太は抑揚のない声で言った。
「だったら、なんのためにこんなことをするの」