さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
光莉は震えをこらえ、気持ちで負けないように彼を睨むだけだった。
しばらく睨み合いが続いたあと、
「なんて、無理矢理なんてつまんないから、やーめた」
颯太は興味を失ったように光莉から離れた。スマホの画面を見ながら、時間の確認でもしているのか。少し底冷えしてきた寒さに身を震わせると、颯太は着ていたジャンパーを脱ぎ、光莉に羽織らせた。
本当は、颯太はこんなことをしたくないはず。彼はやさしい人のはずだと思うのは、甘いのだろうか。
「颯太くんは、ずっとこうしている気? あなたにこんなことまでさせる人が憎くないの? ずっと言いなりのままなの?」
「ここから出て行ったあと、しばらく遊んで暮らせるぐらいの相応の対価を約束してもらったんだ」
「嘘をつくかもしれないわ。私や律樹さんが騙されたように」
光莉が食い下がると、颯太は呆れたように笑った。
「あなたは当主のこと何もわかってないね。修蔵は金のことでは嘘はつかない。利益になると思うものにはいくらでも払うんだよ。あの人の血液は金と権力でできてるようなもんだ。それを思うとさ、血の繋がりのない麻美と当主のほうがよほど親子らしいよね。考え方がやばいくらい一緒なんだからさ。それでも麻美の方がまだガキみたいにばかばかしくてマシ。あの親父は自分の手を汚さないで汚いことを平気でするんだ。本当に……反吐が出るよ」
最後のそれが颯太の本音かもしれない。
ふたりの間に沈黙が降りたときだった。
蔵の外で大きな物音がした。
「光莉様!」とメイドたちの声がした。 助けを求めようと衝動的に動こうとした光莉に対し、颯太が何かを言いたげにする。
ああ、これすらも仕組まれていることなのだと、光莉は察知した。
「光莉様、ご無事ですか」
慌てて駆け寄ってきた数人のメイドに囲まれて、光莉は颯太から引き離される。
遠くの方に、忌まわしき悪魔……常盤家当主の気配があった。
「離れの座敷牢に連れていきなさい」
使用人たちに囲まれ、颯太の身柄が確保される。
「……っ話が違うじゃないか!」
颯太が表情を強張らせ、声を上げる。だが、修蔵は反応を示さず、冷たい目で見下ろすだけだった。
「長男の嫁に懸想をするなど、なんと愚かな。恩を仇で返すとはまさにこのこと。この男に罰を与えたあと、然るべき処分を下し、常盤家の邸より追放する」
しばらく睨み合いが続いたあと、
「なんて、無理矢理なんてつまんないから、やーめた」
颯太は興味を失ったように光莉から離れた。スマホの画面を見ながら、時間の確認でもしているのか。少し底冷えしてきた寒さに身を震わせると、颯太は着ていたジャンパーを脱ぎ、光莉に羽織らせた。
本当は、颯太はこんなことをしたくないはず。彼はやさしい人のはずだと思うのは、甘いのだろうか。
「颯太くんは、ずっとこうしている気? あなたにこんなことまでさせる人が憎くないの? ずっと言いなりのままなの?」
「ここから出て行ったあと、しばらく遊んで暮らせるぐらいの相応の対価を約束してもらったんだ」
「嘘をつくかもしれないわ。私や律樹さんが騙されたように」
光莉が食い下がると、颯太は呆れたように笑った。
「あなたは当主のこと何もわかってないね。修蔵は金のことでは嘘はつかない。利益になると思うものにはいくらでも払うんだよ。あの人の血液は金と権力でできてるようなもんだ。それを思うとさ、血の繋がりのない麻美と当主のほうがよほど親子らしいよね。考え方がやばいくらい一緒なんだからさ。それでも麻美の方がまだガキみたいにばかばかしくてマシ。あの親父は自分の手を汚さないで汚いことを平気でするんだ。本当に……反吐が出るよ」
最後のそれが颯太の本音かもしれない。
ふたりの間に沈黙が降りたときだった。
蔵の外で大きな物音がした。
「光莉様!」とメイドたちの声がした。 助けを求めようと衝動的に動こうとした光莉に対し、颯太が何かを言いたげにする。
ああ、これすらも仕組まれていることなのだと、光莉は察知した。
「光莉様、ご無事ですか」
慌てて駆け寄ってきた数人のメイドに囲まれて、光莉は颯太から引き離される。
遠くの方に、忌まわしき悪魔……常盤家当主の気配があった。
「離れの座敷牢に連れていきなさい」
使用人たちに囲まれ、颯太の身柄が確保される。
「……っ話が違うじゃないか!」
颯太が表情を強張らせ、声を上げる。だが、修蔵は反応を示さず、冷たい目で見下ろすだけだった。
「長男の嫁に懸想をするなど、なんと愚かな。恩を仇で返すとはまさにこのこと。この男に罰を与えたあと、然るべき処分を下し、常盤家の邸より追放する」