さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
光莉の頭の中に描かれた夢は、砂の城のようにほろほろと脆く崩れていく。律樹の笑顔が、彼との未来が、壊れていく……今以上にもっと何かが起きるのではないかという胸騒ぎだけが、いつまでもおさまらなかった。
「光莉、どうした。なんだか顔色が悪いみたいだ」
帰宅した律樹を部屋で出迎えると、律樹は光莉を心配そうに見つめてきた。
光莉はぎくりとしたが、すぐに笑顔でごまかした。
「大丈夫。ちょっと身体が冷えたのかもしれない」
あのあと――蔵から解放されたあと、光莉はすぐにシャワーを浴び、湯船に浸かった。破かれたブラウスはメイドに処分してもらった。幸い怪我はしてない。本当に襲われたわけではない。けれど、光莉はひどい喪失感に苛まれ、寝室のベッドにずっと臥せっていた。
メイド長の白井に律樹の帰りを知らされてから、光莉はどんなふうに律樹を迎え入れたらいいかわからなかった。ぎこちない笑顔でおかえりなさいと告げた。察しのいい律樹が気付かなかったくらいなのだから、上手にできていたのだろう。
ここにいると、最初はあまり得意ではなかった作り笑顔が、どんどん上手になっていく。それもまた自分自身不気味に感じてしまう。
さっきからずっと悪寒が止まらない。自分で自分を抱きしめていなければ、がたがたと震えてきてしまう。ただ単に冷たい場所にいたせいではなく、あまりの衝撃に心が冷え切っているのだ。
光莉の頭の中には幸雄の顔が思い浮かんでいた。
(お父さんと話がしたい。やっぱり、真実をちゃんと知らせるべきじゃないの……? でも、邸からは簡単に出られない。監視がついている。律樹さんには相談できない。あの当主なら本当に律樹さんをひどい目に合わせかねない。なら、どうしたらいいの……)
颯太にはもう頼れない。彼は味方ではなかった。そればかりか、修蔵や麻美の手下だったのだ。忍びのような真似をしていたのも最初から。そのために光莉に近づいてきたに過ぎない。そして彼は修蔵に裏切られ、邸を追放されることになったのだ。
(騙されていた。甘すぎる……本当にそうだわ)
もし律樹にまで騙されていたら……不安に押しつぶされるあまり、そんな考えが浮かんでしまい、光莉は慌ててかき消す。
「光莉、どうした。なんだか顔色が悪いみたいだ」
帰宅した律樹を部屋で出迎えると、律樹は光莉を心配そうに見つめてきた。
光莉はぎくりとしたが、すぐに笑顔でごまかした。
「大丈夫。ちょっと身体が冷えたのかもしれない」
あのあと――蔵から解放されたあと、光莉はすぐにシャワーを浴び、湯船に浸かった。破かれたブラウスはメイドに処分してもらった。幸い怪我はしてない。本当に襲われたわけではない。けれど、光莉はひどい喪失感に苛まれ、寝室のベッドにずっと臥せっていた。
メイド長の白井に律樹の帰りを知らされてから、光莉はどんなふうに律樹を迎え入れたらいいかわからなかった。ぎこちない笑顔でおかえりなさいと告げた。察しのいい律樹が気付かなかったくらいなのだから、上手にできていたのだろう。
ここにいると、最初はあまり得意ではなかった作り笑顔が、どんどん上手になっていく。それもまた自分自身不気味に感じてしまう。
さっきからずっと悪寒が止まらない。自分で自分を抱きしめていなければ、がたがたと震えてきてしまう。ただ単に冷たい場所にいたせいではなく、あまりの衝撃に心が冷え切っているのだ。
光莉の頭の中には幸雄の顔が思い浮かんでいた。
(お父さんと話がしたい。やっぱり、真実をちゃんと知らせるべきじゃないの……? でも、邸からは簡単に出られない。監視がついている。律樹さんには相談できない。あの当主なら本当に律樹さんをひどい目に合わせかねない。なら、どうしたらいいの……)
颯太にはもう頼れない。彼は味方ではなかった。そればかりか、修蔵や麻美の手下だったのだ。忍びのような真似をしていたのも最初から。そのために光莉に近づいてきたに過ぎない。そして彼は修蔵に裏切られ、邸を追放されることになったのだ。
(騙されていた。甘すぎる……本当にそうだわ)
もし律樹にまで騙されていたら……不安に押しつぶされるあまり、そんな考えが浮かんでしまい、光莉は慌ててかき消す。