さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
そんなはずがない。律樹だけは絶対に違う。彼は、降りかかる災難から助けてくれようとしたのだから。そうでなければ、今ごろ山谷食品は潰れていた。幸雄の病だってもっと悪くなっていたかもしれない。
けれど、そもそもの災難は、修蔵が律樹や光莉の背景を調べた上で企てたことだったのだ。律樹と光莉が繋がってさえいなければ、この状況には陥っていなかった。
堂々巡りの考えがぐるぐると頭の中を回っていて、吐き気がしてくる。
ふわりと包まれた感触がして光莉は顔を上げた。ブランケットごと律樹に抱きしめられていた。
「しばらくこうしていようか」
律樹の腕の中にいるとほっとする。
「うん……」
少しずつだけれど震えがおさまっていく。
不意に目が合って、律樹が顔を近づけてくる。いつもならその唇を受け止め、幸せな気持ちになっていた。けれど、今はとてもそんな気になれない。
光莉はとっさに律樹の唇に手を押し当て、唇を拒んでしまった。不思議そうな顔をしている律樹に、光莉は慌てて取り繕う。
「ごめんなさい。もし、風邪だったら、あなたにうつしてしまうかもしれないし」
「体調が悪いときにごめん」
「ううん。律樹さんにこうして抱きしめてもらっているとすごく安心するの。くっついていてもいい?」
甘えていたかった。広い背に手を伸ばし、彼の胸にすっぽりと包まれている。せめて束の間のこの時間だけは忘れていたかった。
「構わない。君が望むなら、いくらでもこうしている」
律樹のやさしさに癒され、光莉は目を瞑る。彼の温もりや匂いにほっとする。
けれど、それを邪魔するように、さっきの光景がフラッシュバックする。
律樹に言ってしまいたい。喉元まで出かかるのをこらえていたそのとき、無機質な通知音が突如ふたりの間に割って入った。光莉はびくりと大げさなくらいに反応してしまった。
「君のじゃないか?」
と、律樹が音の在処を探す。
そういえば、蔵の騒動以降スマホの通知を確認していなかった。ベッドの隅に置いていたスマホを急いで確認すると、着信が大量に残されていた。父が通院している病院それから山谷食品の事業所からのコールだった。
父に何かあったのだろうか。光莉の顔からさっと血の気が引く。
光莉はすぐに父の携帯にかけ直した。
けれど、そもそもの災難は、修蔵が律樹や光莉の背景を調べた上で企てたことだったのだ。律樹と光莉が繋がってさえいなければ、この状況には陥っていなかった。
堂々巡りの考えがぐるぐると頭の中を回っていて、吐き気がしてくる。
ふわりと包まれた感触がして光莉は顔を上げた。ブランケットごと律樹に抱きしめられていた。
「しばらくこうしていようか」
律樹の腕の中にいるとほっとする。
「うん……」
少しずつだけれど震えがおさまっていく。
不意に目が合って、律樹が顔を近づけてくる。いつもならその唇を受け止め、幸せな気持ちになっていた。けれど、今はとてもそんな気になれない。
光莉はとっさに律樹の唇に手を押し当て、唇を拒んでしまった。不思議そうな顔をしている律樹に、光莉は慌てて取り繕う。
「ごめんなさい。もし、風邪だったら、あなたにうつしてしまうかもしれないし」
「体調が悪いときにごめん」
「ううん。律樹さんにこうして抱きしめてもらっているとすごく安心するの。くっついていてもいい?」
甘えていたかった。広い背に手を伸ばし、彼の胸にすっぽりと包まれている。せめて束の間のこの時間だけは忘れていたかった。
「構わない。君が望むなら、いくらでもこうしている」
律樹のやさしさに癒され、光莉は目を瞑る。彼の温もりや匂いにほっとする。
けれど、それを邪魔するように、さっきの光景がフラッシュバックする。
律樹に言ってしまいたい。喉元まで出かかるのをこらえていたそのとき、無機質な通知音が突如ふたりの間に割って入った。光莉はびくりと大げさなくらいに反応してしまった。
「君のじゃないか?」
と、律樹が音の在処を探す。
そういえば、蔵の騒動以降スマホの通知を確認していなかった。ベッドの隅に置いていたスマホを急いで確認すると、着信が大量に残されていた。父が通院している病院それから山谷食品の事業所からのコールだった。
父に何かあったのだろうか。光莉の顔からさっと血の気が引く。
光莉はすぐに父の携帯にかけ直した。