風と共に去らなかった夫になぜか溺愛されています
☆☆☆

「ただいま戻った」
 ブレア伯が生きて戻ってきた。グロリアは未亡人にはならなかった。どうやら本来の『風凪』とは違う流れになってきているらしい。『風凪』の風は争い、凪は平和を示す。だから『風と共に去り、凪と共に散る』は『争いと共に去り、平和と共に散る』という意味。それは、男性は争いと共にその姿を消し去るから、だ。場合によっては命を去る、と。
 では、散るのはなんだろう。てっきり、マリッセの恋心と思っていたのだが。今考えれば、マリッセはいろんなことに耐えながらも最終的にはバセクと結ばれている。恋心は散っていない。

「お帰りなさいませ、旦那様」

 グロリアは事務的に頭を下げた。まさか、彼が戻ってくるとは思っていなかったからだ。

「あぁ、リリー。ずっと会いたかった。こうして、君を抱きしめたかった」

「え」

 抱きしめられたグロリアは彼の腕の中で思わずそのブレア伯の顔を見上げた。すると、熱い唇でそれを塞がれた。
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