Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜
「敵国の人間がこんなにも……。毒でも注射されるんじゃないのか?外国人を連れて来やがって……」

ブツブツと湯のみを投げ付けた男性ーーー金剛寺武夫(こんごうじたけお)が言う。彼はこの黒羽村の地主だそうだ。腕を組み、ブツブツと嫌味を言う彼の隣で妻の静江(しずえ)は武夫を止めることなく無表情で立っている。

「何なんだよ、あいつ」

「敵国って一体いつの時代?」

ヨハンが怒りを顔に見せ、オリバーはどこか呆れている。桜士も呆れていた。一花とアルオチも、嫌悪感を隠すことなく見せながら、武夫を見つめている。

不穏な空気の中、健康診断が始まった。








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