王子は香水姫を逃さない

謁見式と模擬試合


 近衛隊の謁見式の日は、朝からとても良い天気だった。
 
 朝早くロンに乗って、エリンと一緒に王宮へ向かった。
 今日は、試合の準備もあり、近衛の人たちは忙しいというので、馬に乗れる私たちは自分で城へ行くと伝えたのだ。
 
 城に入ろうとしたら、城門脇の入り口に隣国シュルト国の紋章の入った馬車が止まっていた。
 王族関係者の可能性が高いので、私たちは後ろへ下がり、馬車から降りる人を見ていた。
 
 華やかな薄いピンクのドレスをまとった女性が降りてきた。
 まだ、若い。すると、門の前に皇太子が現れた。

 「ジョアンナ姫。ようこそわが国へ。遠いところをお疲れ様でした。」

 彼女に向かって挨拶をしている。
 「まあ、ディルク様。わざわざのお迎えありがとうございます。お目にかかれて嬉しいです。今日は楽しみでした。」
 
 嬉しそうに皇太子の腕に手を回し、にっこり笑った。
 そのとき、皇太子がこちらを向いて、私に気づいた。
 びっくりした顔をして、動きを止めた。
 そのため、ジョアンナ姫もけげんな顔をして、視線をたどってこちらを向いた。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
< 53 / 92 >

この作品をシェア

pagetop