もう一度あなたに恋したときの処方箋
「篠原……すべて父親のせいにしてきた俺が恥ずかしいよ」
高木さんは私の話しを聞いて、困ったような顔をしている。
「許すとか許さないとか、そんなんじゃないんです。私はただ、あなたに淫乱な女じゃないってわかってもらえたら十分ですから」
私はこれまでずっと地味に目立たなく過ごすことばかり考えてきた。
「母のことや、怖かった経験の呪縛から解放されたいだけなんです」
何年も縛りつけられてきたけれど、こんな自分とサヨナラしたい。
「高木次長も忘れてください」
「わかった。正樹とはきちんと話を付ける。アイツが二度と君の前に姿を見せないようにすると約束しよう」
「ありがとうございます」
やっと高木さんの表情も柔らかくなってきた。
「君を傷つけた言葉は撤回する。君は潔癖な人だ。俺は君の力になりたい。これからはなんでもいいから頼って欲しい」
「高木次長、ダメですよ。そんなセリフは彼女にだけ言ってください」
あまりにも近い距離から高木さんに真剣に言われたから、私は頬が熱くなってしまった。