もう一度あなたに恋したときの処方箋


「あ、ああ。すまない」

思わず視線が合ってしまい、クスリと笑った。

「見舞いにきて、花を渡すのも忘れていたな」

高木さんは可愛らしいピンクのミニバラの花束を手渡してくれた。

「可愛い……」

どんな顔をして、こんなステキな花を買ったのだろう。

「無理するなよ」

高木さんは相変わらず優しい声で私の体調を気にしながら帰っていった。

彼が病室を出てから、私は焦った。
考えてみたら病院着のままで、スッピンだし髪もボサボサだった。
高木さんに見られたと思うと、羞恥心で悶えてしまう。

私は母親に捨てられたようなものだけど、お姉ちゃんやエリちゃんがそばにいてくれた。
高木さんも色々な経験をしただろうけど、彼にだって理解してくれる人や信頼できる人がいるのかも知れない。

そこに私がいないのは、チョッピリ残念だった。





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