もう一度あなたに恋したときの処方箋
「ベッドに横になってる君を見たら、華奢だし顔色は真っ白だし心配したよ。もう少し太った方がいいんじゃないか」
「他の人に聞かれたら誤解されそうなので、勘弁してください」
あっけらかんと高木さんは話すけど、私は少し頬が熱くなるのを感じた。
「誤解? いや、そんな意味じゃないよ」
私の言葉に高木さんも気が付いたのか焦っている。なんだか楽しくなってきた。
こんなふうに自然に会話できるなんて、夢のようだ。
それに高木さんが人前でこんなにも慌てた表情を見せるなんて、また違う一面を知った気がする。
(この人、以外に可愛いところもあるのかな?)
高木さんの色んな表情を想像すると、私は笑顔になれた。
***
歩道を歩く高木と鞠子の少し後ろから、岡田部長がそっと様子を伺っている。
周囲からは、ふたりの姿はそれこそじゃれあっている様に見えるのだ。
部長の耳には『ベッド』と『横になる』と『華奢』という単語しか届いていなかったので、妄想はかなり膨らんでいた。
(なんだかお似合いだけど、仲人を頼まれることになったりして……)
フフフと含み笑いをしながら、岡田は会社に戻るまでふたりの少し後をずっと歩いていた。