もう一度あなたに恋したときの処方箋
絵里のつぶやき③


***


鞠子の話では、高木次長からは相変わらす声を掛けられたり誘われたりする日々が続いているようだ。
事業本部の女子社員からの風当たりは少々強いらしいが、面と向かって嫌味を言われたことはないようなので安心した。

鞠子は無自覚だったが、彼女に反感を持つ女子社員はもともと少ない。
社員と派遣社員の区別なく仕事を手伝っているし、ふたつの部署の仕事をこなしているくらいだ。

独身最後の大物といわれる高木次長と鞠子の関係にみんな興味深々のようで、噂話に花が咲いている。
中にはなかなかの美女に生まれ変わった鞠子と付き合いたくて、下心満載の男性社員だって現れている。

その様子を高木次長が苦々しい顔をして眺めているのに、鞠子は気が付いていないようだ。
あの高木次長が残念な人に思えてきたのは私だけかな。

噂のカップルになりつつあるふたりに、誰より注目していたのは岡田部長かもしれない。

「ボクはキューピットなんだよ」という謎の言葉で、周りを煙に巻いている。

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