イケメン検事の一途な愛
俺の質問に彼女は口を噤んだ。
そうか、……うん、やはりそういう事もあるよな。
無いことを願っていたが、現実はそんなに簡単なものじゃないしな。
一応、法的用語を使わないで尋ねてみたが、一般人からしたら同じだよな。
彼女に気付かれないように深呼吸して気を静めた、その時。
「質問の意図を捉えるのに時間がかかっちゃったじゃない」
「え?」
「ないないないない」
「何が?」
「だから、さっき質問して来たことみたいな……こと?」
「………え?」
思わず顔を見合わせてしまった。
「無いの?」
「あった方が良かった?」
「まさか」
「でしょ?」
「ん」
無意識に再び彼女を抱き締めていた。
心の奥から安堵して。
「本当に?」
「疑ってるの?」
「いや、そうじゃなくて」
「足が速いの覚えてる?」
「………あ」
「身売りされそうになった時も、畑から野菜盗んだ時も逃げ足だけは速かったから」
確かに彼女は走るのがとても速かった。
俺はとくに肥満だったこともあって、幼い頃は体育系は苦手だったけど。
彼女は発展途上国で幼少期を過ごしたせいか、足腰は丈夫だといつも言っていた。
俺はてっきり、拉致されて監禁されて性的暴行を受けたのかと思っていたから。
13歳当時に事件は起こり、思春期だった彼女の身の上が一番心配だった。
母親に似て美人だったこともあるし、人懐っこい明るい性格だから好かれやすい性格なのもあって。
「レイプされたんじゃないかと心配した?」
「っ……当たり前だろ」
深刻な話題を振ったはずなのに、あっけらかんとした表情に拍子抜けしてしまう。
そんな俺の耳元に口元を寄せた彼女は……。
「仕事でベッドシーンは数えきれないくらいしてるけど?」
「ッ?!」